「自然幾何数」 | 古典漆芸技術 夏未夕漆綾

2018/02/14 06:25

人間の視覚、或いは自然が持つ数値的傾向には「三角形」が深く関与している。

例えば写真や絵などで最も安定した構図を考えるなら、そこに3点で物や人物を配すると人間の視覚はこれを安定と認識し、こうした3点構図の3次元化によって遠近法、更には2点透視図法などの概念が発生してくるが、これらはいずれも三角形の概念である。

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三角形は直線と言う1次元が次に形成し得る最も直線に近い2次元であり、この事から如何なる複雑な平面で有っても、三角形の組み合わせでこれを計測すると、他の多角形よりはるかに高い精度で平面を表現する事が出来る。

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またピタゴラスの定理「直角三角形に措けるα2乗+β2乗=c2乗」関係は、ピタゴラスの定理として成立する遥か以前、6000年前のエジプト、古代バビロニアでも既に使われていたある種の自然対数であり、「3・4・5」「5・12・13」「8・15・17」の関係は日常の経験則として汎用性を持った数値原則だった。

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勿論、古代には微積分の概念がまだ詳しく発達していなかった事から、流石にαやβ、cが「素数」でないものは使えなかったが、彼等は生活の中でこうした自然の中に潜む法則を経験則から使っていたので有り、こうした自然の中に潜むピタゴラスの定理数値は「原始ピタゴラス数値」と表現され、数の概念は無限である事から、「原始ピタゴラス数値」もまた無限に存在する事になる。

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つまり無限に広がり、今この瞬間も人間にとっては動き続けている数字の一角を、直角三角形の関係が支配している訳で、この点を考えるなら三角形は一種の数値的原則、それそのものが自然定数と言え、このような在り様から、我々が生きて行く上で最も重要な法則の一つと言えるのかも知れない。

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そして三角形の三次元化が「円錐」(えんすい)の概念であり、これは直角三角形の底辺と直角の関係にある辺を中心にして回転させることで得られ、我々が日常で使っているパラボラアンテナの語源であるパラボラとは単純な楕円形ではない。

三角形を回転させて得られた円錐を、斜めに切り取った形の事を指しているのである。

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ちなみに1対1・6180339の黄金比だが、こうした比率は古典比率と言い、古くは最も安定した比率とされたが、現代はA4用紙などに見られる、1対√2近似値が最も見慣れた比率になっていて、これはピタゴラスの定理に出てくる基本三角形の一つの比率に近い。

が、面白い事にはA4のコピー用紙の比率は1対1・40476なのに、何故か輪島塗の幅3尺、長さ5尺の座卓が1対1・6666で、輪島塗の座卓がより黄金比率に近いのである。

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三角形の起源は黄金分割よりもおそらく古く、これが現代比率に用いられている一方、それと同時期か少し新しい時期の黄金分割が日本の比率に自然形で残っている訳である。

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最後に、黄金分割比は「1・6180339887・・・」だが、この中で「339887」と言う数字は結構頻繁に出てくる事になるので、後日どこかで解説しよう。

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今日は形の基本が三角形である事、そして造形や構図には三角形が重要な役割を果たす事、また自然摂理の一角を三角形が占めている事を書かせて頂いた。