「ナメクジが川を渡る」 | 古典漆芸技術 夏未夕漆綾

2018/05/09 05:48

ナメクジ・・・と言えば大概みな顔をしかめるだろう。
だが公式記録ではないが、ドイツのある学者が残した研究レポートにナメクジに関するとても興味深い話が残っている。
秋になって間もないある天気の良い日、午後4時、何気なく風に揺れる茅(カヤ)を眺めていた博士はその茅の葉に1匹のナメクジがへばりついているのを目にする。


通常ナメクジが茅の葉のこんなへさきに登って来ることは少なく、第一そんな葉の先端に行ったところでその先は小さな川、向こう岸までは3mもあるのだ。
不思議に思った博士はそのナメクジを静観していたが、夕方の風にゆらゆら揺れる茅の葉とその上に乗ったナメクジも揺れ、川向こうの茅も揺れていた。


そのとき、博士は何となくナメクジの色が薄くなったように見えたので、目を凝らすとナメクジは更に色が薄くなり、ついには半透明になっていったのだ。
「いやこれは・・・」博士はナメクジをもっと良く見ようと茅の葉に近づいた。
そしてその延長線上にある川向かいの茅に目が行く、なんとそこには同じような高さにある茅の葉に半透明のナメクジの姿があるではないか・・・・・。


博士は両方の茅の葉上のナメクジを観察し続けたが、不思議なことにこちら側のナメクジはどんどん透明になり、川向こうのナメクジが逆に色が濃くなり、ついには30分ほどでこちら側のナメクジが消えて川向こうの茅でナメクジの姿が確定したのである。


博士はこれを機会にナメクジで実験し、同じ現象を2回確認したとレポートに記述し、ナメクジは移動手段が限られていることから、こうしたテレポテーションの能力が備わっているのではないかと推察している。
またこの現象で重大な要素は、風とそれで揺れる茅の葉のスピード、その速度に共鳴している別の茅の葉の存在が必要だとも、瞬間移動はタイミングだとも記している。

 

ちなみにこのレポートはかなり古いもので、文章中茅と訳されている箇所もおそらくアシだろうし、その信憑性について多くの学者は否定的、と言うより門前払いの扱いをしている。