2018/06/30 05:16

円はどれだけ大きさが違っても形は同じとなる。
これを「相似」(そうじ)形と言うが、円に措けるその周囲の長さと、直径の比率には常に一定の法則がある。
この一定の比率法則を「円周率」と言い、通常は「π」(パイ)で表されるが、円に関してその面積や周囲の長さ、または直径を知ろうとした人類は、初期の頃、円周率を実際の計測から求めていた為、その数値には幅があった。
 
「3」や「3・16」と言った古代の円周率は計測数値による不確定さがあったのだが、歴史上初めて円周率を計算式から求めたのは「アルキメデス」であり、彼は円の内側に内接する正96角形の辺の長さの合計はπより小さく、同じ円の外側に接する正96角形の辺の長さの合計はπより大きくなることから、πの数値をほぼ3・14と計算した。
 
以来世界各国のあらゆる時代の数学者達はこの円周率が有理数なのか、つまりいつかは割り切れる数字なのかどうかを巡って、またより細密な近似値を求める方法を探って行ったが、日本では1722年、正1024角形から、収束していく数列の性質を用いた「加速計算法」を使って、小数点以下42桁までの円周率近似値を求めた者がいた。
「関孝和」「建部賢弘」の2人はそろばんで、小数点以下42桁までの正確な円周率をはじき出していたのである。
 
そして1882年、「フォン・リンデマン」は「π」が「超越数」であることを証明し、ここから円周率の計算は、人間の手の及ぶものではないことが分かったのであり、以後も現代に至るまで円周率は機械、コンピューターによって計算され続け、現代では1兆桁を遥かに超えるところまでその近似値は求められているが、ちなみにこうした円周率上の数列で、1から9の、どの数字が一番出て来るかと言えば、これが面白いことに均等な比率で出てくるのである。
 
更に例えば1円を年利100%で借りたとして、毎月複利なら1年後には返済額が(1+1/12)12 円となるが、これが半月複利なら(1+1/24)24 円となり、1日複利なら(1+1/365)365 円の返済額になって行く。
こうして複利の回数が増えていくとどうなるか、勿論返済額が膨大なものになる事は勿論だが、ここに元利の合計が一定の数値に近付いて行く現象が起こってくる。
 
これが「e」、すなわち「自然対数の底」と言われる数値であり、近似値は(2・718281・・・」となる。
数学者のジョン・ネイピア(1550-1617)は、こうした自然対数を全く無意識に使っていたと言われ、それゆえ「e」の数値は別名「ネイピア数」とも呼ばれるが、更に凄いのは、何の数学的教育も受けていないインドの天才数学者、「シュリニヴァーサ・ラマヌジャン」(1887-1920)であり、彼は「ネイピア数」「e」に関して驚愕すべき公式を多数残していた。
 
数学とは一般的にややこしい計算がでてきて、大変面倒だと思われるかも知れないが、実はその根底に潜むものはインスピレーション、または美的感覚と言うものかも知れない。
「シュリニヴァーサ・ラマヌジャン」は当時こうした素晴らしい数学理論が、どうして無学な彼から発生してきたのかに付いて、自身でこう語っている。

「夢で神が教えてくれた・・・」