「余震に備える」・1 | 古典漆芸技術 夏未夕漆綾

2018/09/09 19:04

地震が発生すると、大方の報道や一般大衆の口からは「充分お気を付けください」と言う言葉が出てくる事になるが、では一体どう気を付けたら良いのかと言う具体策は出て来ない。


まずP波の説明から始めるが、これは本震動波より1・7倍早く伝わってくる為、実際に揺れるより早くに「音」や「雰囲気」で伝わってくる事になり、大方の能動生物、昆虫から犬、猫、大型生物の象に至るまで確実に捉えることが出来ている。


カエルやカジカは一挙に鳴くのを辞め、猫やネズミはP波を捉えると家から出ようと大騒ぎを始め、犬は突然吠え始めるか、遠吠えをを始め、鳥の類もバタバタと騒ぎ始める。

蛾などではいっせいにむやみやたらと飛び始める事があり、金魚なども動きが激しくなるか、或いは水槽から飛び出る事もあり、非能動種が大勢を占める植物でも蘭(らん)やススキなどは不自然な動きをする場合がある。


では人間はどうなのかと言うと、約13%の人がP波を捉えられるとされているが、この場合は遠くで多くの木の葉がザワザワ揺れている音、若しくはやはり遠くで大勢の人が騒いでいるような音として感じていて、これ以外は風が吹いてくる音か飛行機が飛んでいるような音として感じている。


だがこれが就寝中の場合はどうなるかと言うと、90%以上の人がP波を捉えていると言われていて、体調が万全なら4秒以内に目が醒める事になる。

が、この時何故目が醒めたかのか、そもそも目が醒めている事を自覚すまでに2秒かかり、震源に近い場合はP波到着直後に本震動S波が始まる為に間に合わないのである。


この点は気象庁の緊急地震速報と原理は全く同じだが、他の動物が瞬間的に目を醒ます能力と同じものが人間にも備わっていて、この場合は「音」で目を醒ます事が知られている。

早朝に発生した阪神淡路大震災の記録には「雉の鳴き声」「犬の鳴き声」「猫の鳴き声」「カラスの鳴き声」で目を醒ました人が多く、この鳴き声の直後に地震が発生してくる。

しかも、この時の鳴き声がとてつもなく大きな鳴き声で、それでびっくりして目を醒ましているのである。


これは音響レンズ効果(私見用語)と言い、脳が緊急時に音を大きく感じさせる効果によるものと推察され、こうした事に注意していても大きな余震を事前察知して少しでも安全な部屋に避難できる確率が高くなる。


また大きな地震の場合、その地震のP波を感じることが出来る人は全体の13%だが、ここでも異常に大きなP波に拠って脳が忘れていた感覚を覚醒させる効果が発生するものと思われ、大きな地震が発生した地域の人は、以後全て正確にP波を捉えられるようになる。

ただし、震度1くらいの地震から聞こえるようになる為、P波のゴーと言う音が聞こえたからと言って大きな余震が来るとは決まっていない。
むしろ本震後のP波の音はそれが聞こえても確実に本震以下の震れと言える。
 


大きな地震が発生して以降、余震の度に事前に「ゴー」と言う音が聞こえるようになるのはその為で有り、これと就寝中に働く危機回避本能に拠る覚醒効果が相まって、大きな地震直後からずっと眠れなくなると言う状態が発生して来る。

音響レンズ効果はP波の音を増幅させ、寝ている時ほどその音は現実より大きく聞こえるのである。


そしてこうしたP波の音と、実際に大きな地震が発生する前の「地鳴り音」との差異だが、決定的なのはP波は移動音と言う事である。

遠くから自身に向かって近づいて来るか、或いは右から左など、その音が移動しているように聞こえるのがP波であり、「地鳴り音」は定点定置音である。


しかも「地鳴り」は大きな地震を経験した事が無い人でも、その場に立てば全員が聞こえるのが特徴であり、この音は実に多様性があり、江戸時代の記録と、平成に入って静岡県の人の報告によれば鼓を打ったような「ポンッ」と言う音から、風のような音、ゴジラが地底で吠えているような音、花火のような音、拍子木を打ったような「カシーン」と言う音まで存在するものの、基本はその場に行かなければ聞くことが出来ない音と言う事になる。