2018/11/16 07:26

朝、目醒めて死んでいなければ、私たちは何も考えることなく呼吸し、目を開けて空を眺め、「ああ、綺麗な朝日だ・・・」などと思う。そして特に考えなくても腹は減っていて、景気が悪いせいで品数こそ少なくなったが、用意して貰ったか自分で作ったかはともかく、ご飯やパンとともに味噌汁やスープを口に運び、何か意図的な努力をしなくても心臓が動いてくれて血液が体を循環している。


このように体が生きていることは、人間にとって当たり前のことであり、誰も意識して呼吸したり、心臓を動かしている者はいない。
また歩くとき左に曲がろうとして、足に左へ曲がれと思っている者、誰かが何かをくれると言った時、手を出そうと考えて手を出す者もいないだろう。


こうしたことを考えるとき、朝目が醒めるのが当たり前だと思っていたら大きな間違いであり、実は朝目が醒める保障などまったくないのであって、それを何とか目醒めるようにしているのが、生きていて当たり前のように思われている自分の体なのである。


人間の体重の約8%、体重60キログラムの人で約5リットルが人体の血液量だが、血液に含まれる細胞の大部分が赤血球であり、赤血球はヘモグロビンをを多量に含んで、酸素を各器官や組織に運搬する細胞だ・・・、が、これにも寿命がある。
骨髄の多能性幹細胞から生み出される赤血球は、やがて成熟して核を失い、流血中に出て行く・・・・、つまり細胞としては死んでしまう訳だが、その寿命は凡そ2800時間、120日ほどであり、この間体全体の血管を循環し続ける。


心臓から押し出された血液は、1分以内に全身と肺の血管を一巡し、赤血球は24時間換算で1500回ほど、120日の寿命期間では18万回ほど、全身と肺の血管を循環していることになる。
そして120日ほど経つと、赤血球の細胞膜は脆く破れやすくなり、脾臓などで破壊されてしまう。


人体の血液は、例えば怪我などで血液を失うことがなかったとしても、その血液量の120分の1、つまり体重60キログラムの人で約40ミリリットル分の赤血球が毎日失われていき、造血組織ではその失われた分の血液を新しく作って補充している。
そしてこうして生まれ変わってくる赤血球の数は毎日約17億個・・・である。


血液だけで毎日17億もの細胞、つまり生命の数が生まれ、そして死んでいるのであり、そうしたものの総称として人間があるのである。

たまには生きていることに、そして体に感謝したいものだ・・・。