2019/02/26 06:32

放射線被爆に拠る人体の影響に付いては、過去、一定の線量以下で有れば被爆しても安全だとする考え方が長く迷信的に信じられてきたが、こうした考え方を一定の数値を超えなければ影響が出ない「しきい値仮説」と言い、この一方で安全とされる微細線量でも影響は免れないとする考え方を「しきい値なし直接仮説」(LNT仮説)「Iinear non threshold hypoyhesis」と言う。


放射線微量被爆の危険度は実測数値では現す事ができず、ここでは単位被爆当たりの危険度が高線量被爆の場合と同様の比例数値であろうとする仮設もまた否定できず、一般的に放射線被爆では高線量被爆は確定的に人体に悪い影響を及ぼすが、微量放射線量被爆に措ける影響とは良い影響と、悪い影響を総称する「影響」が有り、微量放射線被爆に拠る細胞の活性化やX線治療技術など良い影響の事を「放射線ホルミシス」(radiation hormesis)と言い、「バイスタンダー効果」や「ゲノム不安定」などは微細線量被爆の悪影響側の側面である。


細胞一つ々々を分別して放射線を照射すると、直接放射線を照射された細胞に隣接する細胞も同様の影響を受ける事が解っているが、これを「バイスタンダー効果」と言い、この現象を想定するなら、単位面積当たりの放射能被爆線量は微量被爆の方が大きく影響を受ける事になり、遺伝情報の書き換えまでは及ばないまでも、これを正確に伝える部分が影響を受け、結果として遺伝情報が不安定化する現象、これを「ゲノム不安定」と呼ぶが、この効果でも微細放射線被爆の方が影響は大きいとされている。


また「放射線」とは分子をイオン化できるエネルギーを持つ電離放射線の事を言い、生命体が悪影響を被る事は原理的に確実なのだが、電気が流れる場所には必ず発生する電磁波なども広義では「放射線」である。

我々は放射能と言えば過剰までに警戒するが、これと同等か親戚のような「電磁波」の事は考えない。


しかし、照明器具で頭から放射線を浴び、パソコンやタブレットが放出する電磁波で顔を洗っているようなものであり、後生大事に放射線発生源の携帯電話やスマートフォンを眺め、耳に当てている訳である。


近年電磁波と癌の関係を疑う学説も発表され始めているが、癌についてはその昔はこの病気そのものが知られていなかった為、癌による死亡例が少なかったと言う考え方の一方、電気や電化製品の普及に連動して癌の発症が増加しているとする考え方も出始めている。


便利さや経済重視の考え方が蔓延する今の世界だが、そう言う思想に拠って放射線と言う見えない現実が省みられない事は、もし線量被爆の影響が「しきい値」だった場合、ある日突然、大変な事になる可能性も秘めている。