「自宅で出来る超硬派伝統金継ぎ」・1 | 古典漆芸技術 夏未夕漆綾

2019/03/05 21:36

幼い頃に使っていたハローキティちゃんの茶碗が割れてしまった。

買えば100円均一コーナーで売っていそうなものだが、在りし日のおばあちゃんが買ってくれたもの、新しいものでは意味が無い・・・。


こうした場合、手っ取り早く修理するならシアノン系の接着剤でくっつければ形は元に戻るが、接着剤をはみ出さずにくっつけるのは結構難しいし、場合に拠ってはくっついていない箇所も出てしまう。

更にシアノン系接着剤は強力だが、タイミング破断に弱い。

両手で力を入れて剥がそうとしても剥がれないが、意外と持って振っているとハラッと言う感じで接着面が外れてくる場合がある。


古代中国ではこのように割れてしまった茶碗や陶器の修理方法として、一番原始的な方法が糸を巻いて締め付けて成型する方法、次に出てきたのが主に北方民族の間で使われていた楔継ぎ(くさびつぎ)の技法だった。


これは割れた陶器の破断箇所の両側に幾つかの穴を開け、ここに金属の楔を通して締め付ける方法だが、技法としてはとても難しく、職人は各地を転々としながら、その地域の割れた陶器を修理して行ったものと考えられている。


更に紀元前300年くらいになると、陶器を漆でくっつける技法が出現し、これが現在日本でも盛んに行われている「金継ぎ」技法の原点と言える。


元々日本には縄文時代から既に漆を使った製品が作られていたが、古代から中世日本文化の最高峰は中国を最上とする傾向に有った。

それゆえ漆に関する技法も、弥生時代後期に入ってくる中国の漆芸技術が最高峰とされ、こうした背景から日本に措ける陶器修理の最高技術もまた「金継ぎ」技法と言う歴史を持つ。


ただし、現実に破損陶器を修理する場合、伝統技術なる言葉はまやかしでも有る。

一定の約束事を相互が了承して成立する技法であり、汎用性を考えるなら接着剤での修理が最も適しているとも言える。


今日はまず超硬派金継ぎ、前段階として接着剤での補修の仕方から始める。

一般的な強力接着剤の乾燥条件は気温20度、40分で89%の接着効果を得られる為、まず割れた陶器の両面から破断粉を取り除き、両面に隙間なく接着剤を塗り、これをくっつけたら20秒間、破断片のどちらかを下にして、上になる破断片の重みで固定し、動かさずに待つ。


20秒後、手を離したら下に置き、40分間待ってから、割り箸などの木の先を削って鋭くしたものに水を付けながら、接着剤のはみ出しを削って行く。

先がすぐにだめになるので、こまめに先を削りながら、くれぐれも水をつけている時間が長くならないように、接着剤のはみ出しを削って行く。

この時、何故木を遣うかと言うと、竹や金属だと信楽や美濃焼きの場合は、傷が付くからであり、間違ってもこれらを使ってはならない。


この接着剤のはみ出しを削る作業は、接着後40分がベストであり、これを過ぎて例えば翌日になると乾燥硬度は98%を超え、もはや木を削ったものでは取れなくなるからである。


この作業を終えたら、接着剤のはみ出しのない、割れた細い線だけがかろうじて見えるほどの綺麗な接着修理が完成し、上から漆で線を引いて金を撒けば「金継ぎ」とする言い方をする者もいるが、この技法ではあくまでも「金継ぎ風、接着材修理」でしかない。


ただ、接着材修理だから適当で良いと言うのでは、伝統技法金継ぎでも良い結果は得られない。

どんな小さな技術でも細心の注意と知恵を駆使する姿勢がなければ、高度な技術などは猶の事、得ることができない。