2019/03/31 17:40



日本に措ける市町村の数は市が792、町が743、村が177となっているが、この他に東京23区は特別区と呼ばれ、更に全国には20の政令指定都市が存在する。

この内財政上、収支が黒字の基礎自治体は東京23区だが、特別区に編入される為、実質日本の市町村で収支が黒字の基礎自治体は無く、赤字幅は地方へ行くに従って激しくなる。


全国各県で赤字幅が10%前後の市町村は平均で0~1、20%前後の赤字幅の市町村が平均3、50%を越える市町村は5、90%の赤字を交付金で賄っている市町村は各県平均3割を超えており、これはどう言う事態かと言えば、例えば人口3万人の地方市の総予算は200億円、税収が20億円しかない状態と言え、この税収分の20億円は地方議会議員と地方公務員の支払い給与総計に及ばない。


また政令指定都市の平均予算額は5650億円前後、この総予算の内20%前後は国の交付金で賄われている。

つまり最も優秀な市町村郡でも20%は赤字経営なのであり、自治体の3割は50%以上の赤字、4割近くは90%の赤字、更に残りはそろそろ予算編成そのものが難しくなってきていると言う事になる。


この上に全国の人口動態で2500万人ほどが政令指定都市で暮らしている。

5人に1人は政令指定都市に居住している為、その周辺を含めると日本の労働人口を最大4割大と見積もっても、その殆どが政令指定都市とその近郊に集中していると言う事になり、為に、地方自治体の生産性の下落には歯止めがかからない。


こうした中で地方政治は衰退の一途を辿っているが、特に地方議員に為りたがる候補者減少の要因を、議員報酬の低さに求めるのは間違いである。

200億円の予算の内、税収の総計が20億円では、もはや予算審議など無意味であり、しかも何か新しい事を考えても、それを訴える相手は現状維持を最上とする高齢者しかいない。

この状況では幾ら議員報酬が上がっても「希望」が無く、唯、数年間甘い汁を吸っただけにしか思われない。


政治の初源は「理想」で有ったり、「希望」、或いは「この町を・・・」「この地域を・・・」と言う思いから始まるものであり、これを悪戯に報酬だけ上げれば何とかなると考える方が、既に狂っている。


その壁が努力で打ち壊せるものなら、それを支えてくれる者がいるなら、人は挑戦もするだろう。

しかし、周囲も止ったまま、ひたすら絶望に向かっていく中で、最終的には既存の仲間にしかなれないのなら、地方議員と言う少し高額な給与が貰える就職先でしかないなら、そもそも政治とは真逆のスタンスと言える。


加えて近年発生が頻発する国会議員などの不祥事も、余りにも程度が低すぎる。

女に入れ込むなら、それが命がけで有るならまだしも簡単に折れ、利権を貪るならどんなに血の涙を流しても、それを追い求めようとする覚悟が無い。


あらゆる事が保身の言い訳ばかりでは、代議士と言うのは統合失調症の患者か、或いは勘違いした自己顕示欲の塊しか、為りたがらないのではないかと考えられても仕方なく、これではそれを目指そうとする者は明確に性格破綻者としか見られない。

敢えてそんな世界へ飛び込もうとする者は無く、私が子供の頃は政治家とは格好の良い者だったが、今では格好の悪い生き方、危ない、もしくは怠惰な人の集まりにしかなっていないのでは、若い世代に取ってはブラック企業以上に魅力の無い就職先と言う事である。


地方自治体では確かに公務員数を減らしている。

だが、その一方でこれらの業務を第三者機関の派遣会社に依頼し、これで公務員数の削減を称しているが、支払っている派遣費用は行政の営業収益から賄われるのではなく、総予算の内、たった1割しか集まらない税収がそれに当てられている訳である。

実質何も変わらず、この派遣の仕事すら利権が絡み、頼んでも頼まなくても補填される地方交付金を多く獲得したのは、私のおかげだと選挙で自慢し、広言するのが地方議会議員のレベルである。


議会運営が困難なのは議員報酬が少ないからではない。

「政治」から夢や希望を奪った平成の政治家たちの責任である。

4月で元号が変わる今こそ、己の怠惰と不徳を省みて恥じるが良い・・・。


そして議会運営が困難なら地方議会は消滅するべきで、既に地方議会の大多数は議会の機能を果たしていない。

これを削減するだけで、1兆7000億円以上の国家支出を減らす事が出来、選挙費用も考慮するならその総計は2兆5000億円を超える。

形而上の民主主義を見せかける為に2兆5000億円も費やす様な事は、もう辞めにしたら良いと思うのだが・・・。