「台風と言うエネルギー」・2 | 古典漆芸技術 夏未夕漆綾

2019/04/25 06:39

台風が来る前の気象は温度が上昇する場合、その時点では計測地域が台風の右半分に入る位置に有ることを指していて、気温の微弱な低下は、その地域がその段階では台風の左半分に入るだろう地域に位置している事になるが、その後の進路の変化によっては、台風の危険半円に入るか、可航半円に入るかは判断できないが、いずれにしても台風が接近することは確かとなる。

また台風は中心から半径50kmないし、大きいものでは300kmほどの範囲で「暴風圏」を持っているが、この円内の右側半分では風速25m以上の激しい風を伴っていて、瞬間最大風速はこの円内で発生する。
しかし台風がもっとも危険な状態なのは、その勢力が衰え始め、暴風圏が消える時期であり、これは暴風圏がなくなったことを指しているのではなく、大きな暴雨風域がちぎれて小さな暴風域へと散逸してしまうと言う意味を持っている。

従ってこの場合、台風の中心から遥かに離れた台風の外円付近で小さな竜巻が大量発生することがあり、この点では気象庁の発表で「暴風圏がなくなりました」と発表されても、更に暫くは注意が必要である。

自然界で発生する現象はどれも同じように見えて、その実まったく同じものはただの一回も起こらない。
毎回が例外で想定外のことであり、それゆえに起こってくる被害も毎回予想もできない事になる。
日本と言う国は巨大な大地の裂け目にあって、気象的にも全てがそこから変化していく、言わば地球のエネルギーが集中しているトレーダー(分岐点)のようなところに位置している。

古来より「赤いものが出る土地は人の血を求め、力が集まる土地は天災が多い」とされているが、前者はルビーや石油が出る地域のことを指して、後者は古代文明がそれを基盤に発展したであろう大河、つまりは「水」の豊富なことを指していて、水の豊富な土地は膨大なエネルギーが集中している地域と言う事ができるが、これはすなわち激しい気象現象が多いと言うことを物語っているのである。

そして大地の底で膨大なエネルギーを持つ地域には、そこへ向けて同じように膨大なエネルギーを持った気象現象が引き寄せられてくる傾向があり、このことは低気圧が一週間で同じで地点を3個以上通過した場合、その地点に大きな地震が発生することが多くなることをしても明確であるように思える。

日本、及び日本人はこうした地球のエネルギーが集積する一つの「場」に存在していて、ここであらゆる自然のエネルギーに耐えて、日々の営みを続けてきた民族である。
嫌なら止めれば良い、都合が悪ければ失くせば良い、異種の文明が出会ったときはその劣勢にある者が支配を受けるか、それで無ければ滅亡するかと言うような、近代西洋文明の価値観では全てが語れない部分があり、もしこうした価値観だけで日本を考えるなら、その先には全国土的な「消滅集落」現象を引き起こす可能性があるように思える。

同じように赤いものが出る地域の現在の騒乱を考えるに、こうしたある種西洋の合理的な考え方では解決の付かない暮らしを続けてきた文明が、今まさに西洋文明が持つ合理性と言う非合理性によって揺らぎ、そして本来の有るべき姿に立ち返るのか、それとも文明的に完全に崩壊していくのかの分岐点に立っているように見え、その先鞭だった日本は今、文明的に欧米ががそうなったように、あらゆるものを服従させ、その反面いろんなものを取り込みすぎて起こる、「力の溶融」へと向かっているのではないだろうか。
地震や台風の被害が拡大していく今日の在り様を鑑みるに、そんなことをふと思うのである。

ちなみに私は子供の頃、台風や嵐が来ると言うと心のどこかではわくわくしていた。
空を見上げながら、低気圧や台風が「今からそこへ行くぞ」と言っている声が聞こえるような気がしたものだった。