2019/05/13 06:10

その上で現在の日本経済を見るなら、2011年に発生した東北の震災処理は進まないどころか自然減衰に追い付かず、その経済的な損失は実に「実質国家予算」、つまりは国家予算の内、債権金利や債務返済以外に使える実際の国家予算に相当するものとなり、今までの借金が既に1000兆円、実に国家予算の10倍を超える借金と加わり、行財政改革などは見向きもされない状態となり、安易な増税に次ぐ増税、更には高齢化社会に対応する年金や福祉予算の大系は全く見えていない状態にあり、これは「破綻」している状態だ。


にも関わらず各国の通貨が不安定になる都度、実質経済は先進諸国中最低の日本の「円」が買われるのはなぜか、これは日本の「安定」にその要因が有って、つまり日本が経済的に取る対策や、やれる対策がセオリーに従った事しかやらないし、やれない、大変分かりやすいものであること、また国民がパニックになって暴動を起こさない国家でも有ることから、とりあえずの逃げ道として日本の「円」が買われているのであり、これは日本に対する評価でもあるが、その反面馬鹿にもされている訳だ。

つまりドルが下がって「円」が買われれば、日本は輸出産業で経済が成り立っているから、急激な「円」高になれば、日本経済が停滞する事を恐れて必ずドルを買い支える。
ここは暫く日本に助けてもらおうと言うのがアメリカの意図であり、同じようなことはEUにも言える話だ。

従って「G20で協調して国際市場の安定化」などと言う話は、実に虚ろな話で、その実情は自国だけは何とか助かりたいと言う消極的戦闘状態国家の集合体となっている。
いつかG7やG20が協調介入した事が有っただろうか、いつもギリギリまで伸ばされて、自国が何とかなったら今度は自国通貨の値下げを歯止めようと言う意図の協調介入しかない。

結局国際社会は日本の経済などどうでも良く、自国エゴでしか動いておらず、こうした中で日本は決まりきったセオリーでしか動いていないのであり、結果はどんどん衰退する一方だが、その根底には自国被害を何とかして小さくしたいと言う覚悟のなさ、変革を恐る安定志向があるからだ。

だがもし日本が自分が傷を負ってでも国際経済、アメリカやヨーロッパに対抗しようと言うなら話は別で、経済は戦争だと思えば、日本は「円」の流出を止め、更には国債金利を引き上げ、ユーロやドルを限界まで値下げさせようとすればどうなるだろうか。
場合によってはユーロやドルが紙屑になるまで追い込む意思が有れば、これはヨーロッパやアメリカにとっては脅威となっていく。

国際的なセオリー通り日本が少しづつ「円売り介入」していて発生する損失が、1日で100億円なら、1ヶ月で3000億円になるが、もし1週間で3000億円の損失を出しても、その1週間で円高が解消されるなら、これは総合的に見て日本経済の損失を減らすことになる。
そして誰に何も頼まなくても、次から日本が金利を引き上げても、反対に金利を引き下げても国際社会は日本の動向に注意することになり、場合によっては何も言わなくても、金利を上げればアメリカやヨーロッパは協調介入せざるを得ないことになるかも知れない。

「まあ、日本ならあ大丈夫だろう」「どうせ何も出来はしまい」と思ってどんどん入ってくるドルやユーロ、こうした時日本はいつも「円」を売ってドルやユーロを買い助けてきたが、その反対に世界経済から救って貰ったことはなかった。
たまにはこうした状態で更にドルを売って円を買い、ドルを紙屑にしてやると言う意思を見せ、その上で上昇した「円」で世界中から食料や工業用原材料を買い漁る姿を見せても良いのではないだろうか。

株式相場や国内産業が最も疲弊するのは毎日続く少しづつの損失であり、損失は大きくてもそれが短時間で終わり、その後好転するなら、企業や個人も頑張ってみようと言う気持ちになるが、ズルズル茹でられるカエルになるのは辛い。

「経済は戦争である」と言う言葉は昔から言われていることだが、この言葉が最も嫌う人間はリスクの無い利益を求める者であり、リスクがないように見える利益は基本的に「詐欺」か「虚」に過ぎない。