2019/05/16 05:59

2の平方根、つまり「√2」と「π」、円周率はその数値こそ違うが、数の量的には等しい可能性を持っている。

「√2」を数字的に計算して行くと、そこには部分的にばらつきがあるものの、1から9までの数字が計算を続けるに従って等しい数だけ現れて始めて来るが、これは円周率でも同じ性質を持っている。

つまり「√2」と円周率は人間界の数値的意味では差異を生じるが、1から9までの数字の出現数や量と言う点ではほぼ等しいか、完全に等しいかのどちらかであり、これは有理数(割り切れる数)に対する無理数(円周率や√2など、永遠に割り切れない数)全てに共通し、その意味では無理数とは先へ進むに従って全て同じものとなるのかも知れない。

そしてこれは例えば地震の周期予測や長期の気象予測でも同じ傾向を持っていて、こうした意味であらゆる統計と呼ばれる傾向分析は先へ行くに従って不確定、無意味化する性質を持ち、しかも平均値ではランダム数値を求める事が出来ても、それが時間や空間によってランダムでは無い不均衡を持ったものとなっている。

従って2011年3月11日に発生した日本海溝地震(気象庁呼称・東日本大地震)に付いて、各大学の研究者等は1000年前に同じ傾向が有ったとして、こうした地殻変動に関して1000年ほどの周期があるのではないかと言う見解を発表したが、これは基本的には村の古老の天気予報より不確定なものであり、その根拠は全くない。
来年同じ規模の地震が同じ地域で発生する可能性はこれまでと同じ確率で存在する。

1000年前に1度有った事が現在に起こったからと言って、それに周期を見るのは希望的観測と同じものであり、迷信よりさらに不安定な予測と言うものだ。
そもそも2000年の単位で正確な記録や歴史が残っていない日本で、1000年の周期は証明されようがなく、比較的周期らしい傾向にある東海地震、東南海地震、南海地震にしても100年を中心に50年ほどの不確定な時間幅を持っていて、なおかつその周期記録にしても、最大に見積もっても1500年の範囲を超えていない。

地球の歴史が46億年とするなら、こうして我々が周期と思っているものにしても、1万回サイコロを振って記録を取る内の、最初の1回にも満たない数値で統計的な予測をしているのと等しく、本質的には地震に周期は無く、現在も偶然が周期に見えている可能性が否定できず、その地震の規模も同じ地域での巨大地震で有ったとしても毎回同じものは1回もなく、その意味では全ての地震がそれぞれ我々の想像を超えたものとなるのである。

地球の内部は金属が溶解して液体となった核の上を、流体と個体の中間性質を持ったマントルが対流しながら覆い、その上に薄いオブラードのような地殻が乗っているに過ぎない事から、その不安定さはとても周期を保てるほどの安定を築けない。

それゆえ例えば1万年の期間はある程度同じ傾向が続いたとしても、100万年の単位ではその傾向は傾向と言うほどの形を保てず、地球やその上で暮らす生物は連続する「時間」の中にあることから、地球の寿命の内でたった1回しかない出来事に、明日遭遇しない確率は0では無く、こうしたインパクトの種類はまた無限に存在していることから、我々が遭遇するあらゆる災害は同じように見えて、全く同じ傾向を示すものはひとつもないのである。

マントル対流の不確定規模は通常「秩序」の中にあるもの、即ち比較的安定した物質である例えば工業製品などと比較すると、工業製品が存在できる短期の時間内比較では、それが秩序から混沌に向かう定数「ファインゲンバウムの定数」4.6692016・・・以上の混沌に有って、現状の時間軸で工業製品が壊れる確率と、マントルが変調をきたす確率では、どの時間軸上でもマントル対流が変調する確率が高い。

これはその物質が存在できる時間の長さの違いから起こってくるもので、基本的にはマントル対流が秩序から混沌に向かう定数は、おそらく「ファインゲンバウムの定数」に従ったものだが、それが起こる確率の「逆べき分布」の性質に加え、片方は精々が10年くらいしか存在出来ない物質と、46億年存在し、これから先も存在し続けるものとの比較では、長く存在しその存在が終わっていないものの方が混沌へと向かう確率が常に高くなる。

この事から人間世界で1000年の期間、地殻変動に傾向が見られたとしても、それがもし1億年間統計として記録されていたなら、その傾向は傾向では無くなり「普通」の状態にしかなっていないはずであり、基本的には宇宙も地球も特定の傾向など持っておらず、常に「偶然」や異常事態が「普通」なのである。

関東地震などは、その地震に影響する南部東京湾の震源域には400年周期の震源と、100年周期の震源が存在することが分かっていて、この震源域が交互に揺れるために関東地震の周期は60年から90年とされているが、大幅に余裕を見たとしても90年の周期はその範囲に入っても、60年の周期は誤差が大きすぎ、とても周期とは呼べない範囲となってしまう。

また400年周期の震源域の振動が大きく、100年周期の震源域の振動は、それに比べて30分の1の規模になると言う説にしても、江戸時代中期の関東地震の規模が大きく、そして1923年に発生した関東大地震では、10万人と言う死者が出たことから同じように思われているに過ぎず、1923年に発生した関東地震の死者の死亡原因は、地震によって発生した火災による焼死であり、江戸時代中期に発生した地震は、地震そのものが日本を揺るがすほど大規模なものだったのである。

そして日本付近の地殻変動がある程度の傾向を持って見られ、それが現実にもかろうじて重なったように見えてきた期間は、実は「阪神淡路大地震」発生時期に終わり、以降は変化しつつあるのではないだろうか。
つまりここ1万年か2万年は偶然として傾向と見られなくもなかったものが、その範囲に収まりきれなくなっているように思われる。

                          「消失する異常」・2に続く

※ 本文は2011年、yahooブログに掲載した記事を再掲載しています。