2019/05/21 05:15

この話は多少脚色したものの、私が中学生の時に読んだ小説か、或いは政治学の本だったかに出てきた有名な話だったと記憶しているが、その意図するところはソビエトのレーニン、スターリン、フルシチョフと言う、ソビエト社会主義革命の初期指導者達の関係を示したものと自身のうちでは認識していたが、これは政治を考える上でも実にその根本を突いた逸話でもあった。

一つの国家の政治状況が戦い、つまりは革命もその一つだが、国民の意思によって武力で変化する場合と、同じように選挙などによって国民審判を得て変化していく以外の政治権力者の移行、変化は通常「政権移譲」と呼ばれるが、こうした場合は概ね冒頭に掲載した話と同じ経緯で政治が動いて行き、そこに暗躍する政治家も大体がソビエト社会主義革命黎明期のような様相となる。

たまたま昼休みに外出から帰宅し、ニュースを見ていたら、民主党代表選挙の演説が行われていて、そこで民主党各代表候補の演説を聞いて思ったことは、これから2年かけて日本は間違いなく潰れていくだろうなと言うことだった。

そもそも国家の最高責任者を決めるのに、2日や3日しかないと言う事態も国民を愚弄しているが、民主党の代表候補は軒並みビジョンが無い。
哀愁に満ちた自分の苦労話に演説の大半を割く馬鹿が、政治を口にするなど笑止千万である。
この代表選で一番自分の苦労話が長かった候補者が「野田佳彦」であり、結果として同氏が民主党代表、つまり次期内閣総理大臣に就任することになるが、もともと野田氏の政治的スタートは「松下政経塾」から始まっており、この塾の出身者はそもそも政治家には向いていない。

事業的に大成功を収めた松下幸之助、現在のパナソニックを始めとする松下グループを築いた創始者だが、彼は晩年、幕末の1842年(天保13年)、「吉田松陰」(よしだ・しょういん)が開いた「松下村塾」(しょうかそんじゅく)に憧れ、「松下村塾」の出身者である「高杉晋作」や「桂小五郎」のような政治家を現代にも育てようと、1979年に始めたのが「松下政経塾」(まつしたせいけいじゅく)である。

だが方や江戸幕府から明治の移行期に、若くしてその命もいとわず日本のことを思った吉田松陰の「松下村塾」と、経済的に成功を収め、単に憧れから始めた松下幸之助の「松下政経塾」では、その発生から始まって「志」と「老害」程の差が有った。
松下政経塾は適切な指導者がおらず、その初期は松下電器産業から出向してきた松下の社員が教鞭を取っていたのであり、その後こうした経緯を問題視する声を無視できず、何と同盟系、民社党の研修機関である「富士政治大学」をモデルにしていったのである。

このことからその理想とするは「保守」にありながら、手法は左翼系の矛盾した政治家を多く排出する事になり、それが細川護煕内閣総理大臣が起こした日本新党で花開き、結果として日本は亡国の危機に晒されたのであり、そのメンバーの多くが民主党に残存し、そしてまた今日、日本を亡国の危機に陥れようとしている。

野田佳彦氏は管直人政権下で財務大臣に就任したおり、増税には慎重論を唱えながら、その後何もなかったようにのっぺりした顔で増税を口にする、最も松下政経塾出身者らしい政治家であり、この人物が選択できる日本の政治状況は良くて「独裁」、恐らく最後は全てに調整が付かなくなり、何も決まらない政治状況を生み出し、その付けは国民と言う事態を引き起こす事は間違いない。

その上に現在日本は国土的にもとても危険な時期に突入していて、いつ何時関東地震や東海地震、九州北部震源域地震、秋田県沖震源域地震、北海道南西沖震源域地震、長野震源域地震、岐阜震源域地震が発生してもおかしく無い状況を向かえ、経済は景気の停滞もさることながら、国際的にも呆れらている状況に加え、台頭する中国情勢、帝国主義化するロシア情勢や、不安定化する北朝鮮、中東情勢などの外交問題を抱え、それら全てに対して全く方向が示されていない。

民主党代表選挙で誰か一人でもこうした問題に、道筋をつける発言をした者がいただろうか。
日本は今、この段階でも世界第3位の経済大国であり、1位のアメリカと2位の中国との差が縮小しつつある状況は、まさに第3位の者がその地位以上の影響力を行使できるチャンスなのである。
しかるにこうして弁舌爽やかなれど、内容は空っぽの政治家の在り様は何だ。

恐ろしいから小沢一郎の影響力を避け、三流の人間を代表に選らぶ民主党政治の消極姿勢は必ず政治を愚鈍化させ、国民は災害の被害に加え、民主党政権が大きくする災害の被害を被る事になる。

革命による国民審判か、若しくは国民の選挙による審判がない、いわゆる党内の代表選挙だけで政権移譲された政権が取れる政治手法は「独裁」か、「野合政治」のどちらかになるが、独裁と言う命がけの病と孤独に耐えられない者が政権移譲された場合、その国家が辿る道は「崩壊」以外には存在し得ない。

そして日本には、おそらく3通の遺書も残されてはいない・・・。

※ 本文は2011年8月29日、yahooブログに掲載したものを再掲載しています。