2019/05/26 05:11

21世紀の今日、世界はまずこの10年で最後まで残っていた資本主義に支えられた自由主義と言う政治的価値観を失い、ここに世界はあらゆる政治、「調整機能」を完全に喪失し、いまや政治は「空白」の状態になった。

このことが基本的には中国の「食欲至上主義」を台頭させ、イラク、アフガニスタンに混乱をもたらし、中東の間違いなく幻想を追っているだろう「民主化運動」を発生させ、今やパレスチナが国連に独立国の申請を行うに至ったが、これはつまり自由な社会が訪れたのではなく、国際社会が調整機能、つまりは政治と言うものをなくしてしまっているからであり、この先に待っているものは混沌、混乱と言うものなのである。

同じようにヨーロッパ経済では次々破綻国家が続出し、アメリカの財政赤字も全く改善されないまま、中国経済も頭打ち、世界第三位の経済大国日本は、破綻国家のギリシャより遥かに多額の財政赤字比率を持ちながら、国民は大きな夢を諦め、小さな夢である食事や旅行で刹那的な満足に浸っている状態である。

ここに政治のみならず、経済の面でも国際社会はその行く先を失っている。
即ちこれまで唱えられたあらゆる経済理論は根拠を失い、皆がどうして良いか分からなくなっているのだが、当たり前のことである。
本来経済では無い枝葉を経済と考えているから、根の無いつる草を発展させようとしてもそれは無理なだけの事だ。

加えて経済の本質は「拡大」であり、ここでは第一次欲求「食欲」のような粗雑さや競争が命題にであるにも拘らず、皆が仲良く幸せになろうとすればどうなる。
そこでは格差是正、公平平等、誠実、信頼と言った上品な言葉にかき消された、生物の本質すら失われた幻想を根拠に経済や政治が考えられ、ついには計画生産型の経済が現れてくるので有って、既に1980年代にはイタリア、フランス、スペインなどの国家の国民が刹那的享楽主義状態に陥っていて、1990年初頭、バブル経済が崩壊した日本でもこうしたヨーロッパ的な生活スタイルを目指すべきだとした経済学者も存在したが、その結果が今日の日本である。

親友との関係を基本にする互いの条件を、町内会の会員にまで拡大したようなEU「欧州共同体」は、始めから無理な事が分かっていながら今日の経済破綻であり、これを解決する仕組みは日本のバブル期と同じように「公的資金の注入」だが、同じEUの中でも経済的に破綻していない国家の国民の税金が、散々浪費して破綻した国家の救済に使われることは「本来おかしい」ことであり、これが日本国内での処理なら、国民と言う個人の不満が集積されたとしても、所詮個人だから抑制する事も出来ようが、国家が相手となればそんなに簡単には行かない。

EUは先の見えない奈落の淵に立っていて、これに引きずられるように成績の悪いアメリカや日本、そしてこの先の世界経済は限りなく不透明どころか誰も予測不能な混沌へと陥っている。

その上で先頃、日本の大学研究機関も参加した「ニュートリノ」研究の成果だが、これまでアインシュタインの相対性理論によって、光の速度を超える「質量」は存在できないとされていた一つの科学的「真理」が、光速を超えるニュートリノの速度が発見されたことから、どうやら崩れつつある。

中々興味深いことだが、政治、経済、世界情勢の崩壊、加えてあらゆる国家の国民がこれから先混乱を迎える時期に、これまで絶対的真理とされていた科学理論まで混沌に向かう事になるのは、まさにインターネット上の世界で「より多くのリンクがあるところに更にリンクが集まる」仕組みと良く似ている。
つまり今世界は、いや地球のあらゆるものが混沌へと集中し、次の何かに向かおうとしているのでは無いだろうか。

事実や真理とは、また我々が信じているものなど儚いものばかりである。
もしかしたら事実や真理と言うものもまた決して割り切れることの無い円周率のように刻々と変化していくものか、或いはこの宇宙には何も存在していないのかも知れない。

男も女も確かに始めは男であり女だが、やがてはそれが性差すらも必要としない時へと移行し、そしてついには「命」としての繋がりになり、やがて形すらも無くして行くが、そこに人の思いだけは残っていて、真実や事実も時間経過によって変化していくものに違いない。

ニュートリノが光速を超えたと言う研究結果は、もしかしたらあらゆる物理的理論を崩壊させるかも知れないし、同じように政治も経済も混沌に向かった。
でも私はどこかでこのことがとても嬉しい。
また新しい人類の旅が始まるようで、こうして苦いコーヒーを片手に夜空の星を眺めていると、まるでこの宇宙が「さあ、また始まるぞ、新しい秩序はお前が創れ・・・」、そう言っているように思えるのである。

さて、ふと隣を見ると猫があくびをしているので、今夜はここまでとしよう・・・。


本文は2011年9月28日、yahooブログに掲載した記事を再掲載しています。