2019/06/12 05:04

この宇宙が創造されるとき、今の法則や秩序に確定したのは必然ではなかった可能性が高い。
ちょうど幾つもの無限に存在する丸い型の上に、金属の丸い球が一つ落ちてきて、その型のどれかにすっぽりはまってしまったようなもので、おそらくこの宇宙の外側には、我々の住む宇宙とは全く違った秩序や法則を持つ存在が無限に続いているものと思われる。

そしてこうした宇宙と宇宙の外側の関係に措いて、常に大きなものが小さなものを支配する法則を鑑みるなら、我々の宇宙は宇宙の外側の中、宇宙の外側の秩序や法則の中にあることになるが、その外側は秩序や法則が連続しているだけで、秩序や法則そのものが存在してないとすれば、この宇宙はその濃度によって秩序や法則を維持しているものと考えるのが妥当となり、あらゆるものの存在や法則に措ける確定性は失われ、如何なる存在もそれを否定し得る根拠を失う。

太陽光の中で比較的波長の短い、例えば可視光線などは地球の大気によって吸収されにくく、為に可視光線は地球の表面まで到達し熱エネルギーに変換されるが、このようにして温められた地球の表面からは、比較的波長の長い赤外線が放出される。

この赤外線は大気中の水蒸気やCO2 との相性が良く、そこで赤外線は水蒸気やCO2に吸収され、宇宙空間には放出されにくくなり、結果として熱エネルギーである赤外線などは地球の大気に留まり、地球表面上の気温を押し上げる。
この事を「温室効果」と言う。

従って仮に今、地球上に赤外線を留めておく作用の水蒸気やCO2、いわゆる温室効果ガスが全く存在しない状況を想定するなら、太陽光放射量と地球が反射する放射量が相対的均衡を保つことのできる、地球表面の平均気温はマイナス18度と計算される。
しかし実際の地球表面平均気温はプラス15度で有ることから、実に地表温度を33度押し上げ、地球が今日の気候を維持しているのは「温室効果ガス」の恩恵によるものと言える。

それゆえ一般的概念では「温室効果ガス」は有害なものと考えがちだが、もし「温室効果ガス」が無ければ、我々は気温マイナス18度の地球で暮らさねばならない事を考えるなら、この効果こそが生物の繁栄を維持せしめているとも言えるのである。

だが大気中の「水」の量は、例えばここ数万年は一定量を保持しているが、CO2の大気中の含有量は近年の産業的躍進、化石燃料の大量消費、森林資源の枯渇などによって年々増加傾向にあり、南極大陸の氷の中に閉じ込められたCO2量、すなわち氷河期の頃、地球の大気中に占めるCO2含有量は280ppm(0・28%)だったにも拘らず、これが19世紀末には290ppm、1960年には315ppm、2000年を超えた段階で360ppm、2020年代では400ppmを超える事は確実と見られている。

このCO2の増加率は過去30年のハワイ・マウナロワ山頂での観測でも裏付けられており、これによると1960年の大気中に置けるCO2濃度は315ppm前後だが、これが2000年には370ppmを超える数値となっている。

地球上のCO2濃度は植物が成長する春から夏は減少し、植物の活動が衰える秋から冬には増加するが、地球に存在する陸地面積の不均衡は、基本的には昼と夜でもCO2濃度変化をもたらしており、数値的な誤差は微妙だが、昼間はCO2濃度が減少し、夜はCO2濃度が上昇している。

また観測結果から1960年頃の年間CO2濃度上昇率は1年間で0・7ppmだったが、これが2000年では1・8ppm、すなわち年間上昇率は2・5倍に跳ね上がっている。
産業革命以降、地球の平均気温は約1度上昇したとされているが、仮に現在予想されている2050年度のCO2濃度が450ppmと言う数値が現実になった場合、その気象的変化は想像を超えたものとなりかねない。

南極大陸の氷の融解、海水の膨張によって海水面が今より平均で3m以上上昇し、湾岸地帯の都市は水没のおそれが出てくるばかりか、世界的な降水分布変化が発生し、乾燥地帯が北方へずれ、北緯20度から30度の、現在の穀倉地帯が全て砂漠化するおそれが有る。

その一方、現在の乾燥地帯の緑地化はそんなに早く進行しないことから、地球は慢性的な「食料危機」状態となり、更には現在は熱帯性の感染症であるマラリア、黄熱病、西ナイル熱などが現在の温帯地域まで感染範囲を広げ、気象が激化し、集中豪雨や台風の大型化、洪水や干ばつによる自然災害の巨大化が懸念されている。

しかし良く考えてみれば解る事だが、温室効果ガスは生物繁栄に寄与する現象であり、これによって繁栄した生物がCO2を上昇させるのはある種の「命題」とも言えるもので、これはこれで自然な流れとも言える。
ゆえに人類の単位で考えるなら、CO2濃度は何が何でも抑制しなければならないが、この宇宙の秩序や法則から鑑みるなら、その法則の中に存在している。

あらゆる物質、生物は波の性質を持ち、小さな幾つもの波が更に大きな波を描いて、その先端は消滅に繋がっている。
すなわち人類も多様な自然な営みの中で、波のように破綻と繁栄を繰り返しながら消滅に向かうのは正しい有り様と言える。

だが人類はこうした有り様を認めず、常に繁栄を目指すことから、これまで自然の中の秩序に従い、それを利用して生きる道を塞ぎ、巨大な壁を作って小さな世界を防御することのみ考えて来た。
この事はそれまでに経験しなければならなかった小さな破綻の波を避ける事にはなったが、防御と言う有り様は人類を脆弱にし、やがて更に大きな波が訪れた時は完全消滅する危機を増加させた。

小さな破綻を経験しておけば、或いは耐えられたかも知れない危機が、既に耐えられない状況に追い込まれている。
破綻を防ごうとする事がより大きな破綻の危機を招いている。
温室効果ガスの問題は基本的には完全破綻の波では無いかも知れないが、大きな破綻に伴って発生するものの一つである事は確かだ。

人間の防御とは常に完全な状態を想起しているが、それはこの宇宙が持つ波の性質といつか対立する。
ファイゲンバウム定数は超越数であり、どこまで行っても割り切れない事から、それは基本的には動いていく数値だが、例えばこの数値の4兆桁目の数値を変えようと試みるなら、おそらく宇宙は消滅する。
そして人間が求めている「理想」とはいつもそう言う事を目指しているものだ・・。