2019/07/17 05:41

例えば人間の血管網と樹木の枝、それに川を鳥瞰的に眺めた形は全く同じではないが、縮小したり拡大したりすると近似値を示す。
つまり似たような形になるのだが、これはそれぞれに構成されている物質が異なっても「形」としては似たようなことになっていく事を示していて、この地球は混沌(カオス)で有りながら、そこには自己相似性が存在している。

このことから一つ一つは確かにカオスであり、あらゆる物質、生命は近似値を持ちながらその細部を知ろうとするなら、そこには「無限」が存在する事になり、そうした無限が複雑に入り乱れて構成されているために「完全」を求めることは不可能となっている。

だが先の人間の血管と樹木の形の関係のように、あらゆる物質及び生命は形としての近似性があり、このことから絶対に同調しない波が無限に近いところを無限数走っている事になり、従って我々の住む世界では何かの結果の原因を一つに求めることはできないのであり、また現在地球に存在するあらゆる形は「カオス」が発展拡大した状態がもたらした「秩序」とも言えるが、この秩序は常に新たな「カオス」を内に存在させていて、現在地球に存在する「形」は刻々と変化し続けている。

それゆえ人間が求める統計的数値がある種の「確定数値」であるなら、その統計的数値は時間経過と共に、或いは事象発生ごとに不確定、混沌へと向かっている事になるのであり、更には何かの事象発生原因を一つの理由に求めることは、初めから自然摂理を無視しているとも言えるのである。

気象の周期は最大数億年単位、最も小さい周期で30年ほどのサイクルが存在する。
しかし冒頭にも述べたように、こうして現在我々が周期と感じているものも、実はカオスの中にあり、従って周期は放物線を描くように、秩序が構成される寸前には加速度的にそれまでの周期が崩壊し、こうした崩壊は自己相似性により小さい周期の方がより早い崩壊を示す。

冬季から春の気候に向かう時期、この期間の日本海側では日本海を発達した低気圧が東へ進む事から、強風が吹く日が多くなる。風速30m前後の風は毎年吹いていたが、近年これが気象図としては同じだが、低気圧の勢力が年々強くなってきている。
このため従来であればローカルな気象現象だったものが全国的な傾向を示し、尚且つ地球温暖化が叫ばれながら、シベリア寒気団が従来よりも南に下がって来ていることから、太平洋側でより強風が吹き易い傾向が出てきている。

そして地球が寒冷化に向かうときより、温暖化する時により激しい気象現象が発生してくる。
地球の気象は平均して温度が上昇するのではなく、寒気も暖気もそれが密度を増してくるのであり、この為にこれから地球の気象はより激化してくる。
例えば5年ほど前の3月後半の気候で発生する低気圧の勢力は、北海道オホーツク海へ低気圧が進んだ状態で970hp程だったが、今年のそれは950hpの勢力にまで発達していた。

970hpでの瞬間最大風速はおよそ毎秒40m、しかしこれが950hpでは部分的に毎秒70mの風が吹く事になる。
気象の被害分布は地震のそれに類似していて、900とか1000の単位で僅か20ほどの数値が如何程のことや有ろうと思ったら大きな間違いで、この20hpの差が木造家屋の倒壊確率に数万倍の差を生じさせる。

日本付近のみならず世界的にも、気象は1990年前後を境界にして、少しずつそれまでの統計数値に当てはまらなくなってきていたが、この3年で従来の気象学では予測できない事態が発生して来ている。
つまりこれは、少なくとも30年くらいの周期気象傾向が、この3年ほどで急激に傾向崩壊していると言う事であり、この周期傾向崩壊が単に30年周期のみのものか、それとも数万年、数百万年単位の崩壊なのかは人類では予測ができない。

ただ一つ言える事は、これから日本は地震災害もさることながら、激しい気象災害に見舞われる確率が高くなってきていると言うことで、例えば7月に九州で洪水被害が発生し、9月に巨大台風で穀倉地帯が被害を受け、10月には関東東海地震が発生すると言った具合に、自然災害の複合化が発生し易くなって来る。
その上でこうして東北の震災復興もままならない日本は、経済的にも崩壊してしまう可能性が高く、どうやら急速に混沌(カオス)へと向かうことになるのではないか・・・。

大変興味深い事だが、自己相似性(フラクタル)は細部で無限だが、大まかな点では近似値になることから、どこかで崩壊が始まると言う事はあらゆる事象、自然だけではなく政治や経済、人間、文化、生活など全てのものが崩壊に向かうと言う事であり、混沌(カオス)の究極が「秩序」であるなら、日本はその新しい秩序の一歩手前の最大の混沌(カオス)を迎えると言うことになる。

自己相似性とは細かい波線、若しくは線が限りなく近くを決して交わらずに、不均衡密度で並んでいる状態であることから、結果としてこの地球に存在する物質や生命は全てが大まかでは無関係に有りながら、連続する不均衡密度の線、若しくは波は全てが微細な「原因」を持っていて隣接連続し、それが「現象」となって行く。

そして小さいものも、大きなものも同じような「形」、例えば個人が持つ悩みはそれが集積するに従って、「質」を変化させず悩みの「規模」が拡大するだけでしかないのと同じように、マクロもミクロも同一運命を辿り、混沌と秩序は円の上を移動する点のようなものであり、宇宙の秩序は密度の不均衡でしかなく、その平均は混沌(カオス)である。

これからの日本はあらゆる点に措いて400年に一度、若しくは1000年に一度の大混乱になっていく可能性があり、その被害が一番大きくなるものが、おそらく気象である。

人間は何でも止めて考えてしまうが、実際の宇宙や自然は止まった状態など一度も無く、そして同じことなど一回も無い。
無限数で現れる雲は、似たような形が有っても、これまでに全く同じ容形の雲が出たことは一度も有り得ず、我々が秩序だと思っているものも実は全てが混沌(カオス)の範囲である。

※ 本文は2012年5月5日、yahooブログに掲載した記事を再掲載しています。