2019/11/11 07:30



「4・6692016091029・・・」
「2・5029078750958・・・」
この2つの数字は共に規則や法則が壊れて行く時の定数だが、前者を「第一ファイゲンバウム定数」、後者を「第二ファイゲンバウム定数」と言い、この宇宙の有り様が「逆べき指数」を示している事は、あらゆる存在が混沌と秩序の中に有って、ともにその極は存在しても完全な状態が有り得ない事を指している。

また「第二ファイゲンバウム定数」は秩序から発生する「枝」と、更に次に発生する「枝」の幅比を表していて、この事から秩序の崩壊は主たる存在に対する「亜」、「小異」の発生と言う事ができる。
従ってあらゆる秩序の崩壊は「亜」や「小異」の発生を指しているのであり、崩壊とは「亜」、「小異」の発生と同義である、つまり崩壊とは創造を以て為されるのである。

人類は秩序の崩壊を恐れながら、それをどこかで望んでいる部分を持っているが、これは人類社会の原理と地球と言う物理的原理が、予め相反したもので有ることを遺伝的に学習しているからであり、しかもそこに解決策が無いことも漠然と認知しているからかも知れない。

また宇宙が持つ「逆べき指数」と、秩序、混沌は、量子力学的なあらゆる物質の不確定性にその因を求めることができ、この事から人類社会が拡大と崩壊を繰り返す歴史を鑑みるなら、そこに人為的なものを求めるより、ある種宇宙の原理であると考えた方が適当とも言える。

ヨーロッパ経済を考えるとき、現在はギリシャ経済の破綻が問題になっているが、スペイン、ポルトガル、イタリア、フランスなどもいずれ時間の問題と言う側面があり、この中で従来のEUと言う秩序を保つためには「特例」を生じせしめなければ、秩序が維持できなくなる。
つまり「債務の圧縮」と言う、言わば借金の帳消し比率を高めて、それで現体制を維持しようとする方策が出てくるが、これは現秩序維持の為に小さく秩序を壊している事に他ならない。

「第二ファイゲンバウム定数」の「枝」そのものであり、この事実が指し示すものは、「小異」を発生せしめても守ろうとする現秩序、EU体制が既に崩壊に向かっている事を示していて、間違いなくEU経済は崩壊する。
ヨーロッパ経済は「分離」に向かっての創造が始まったのであり、この事は何を意味しているかと言えば、これからの国際社会は小さく独立した形に向かおうとしていると言う事だ。

第二次世界大戦前後から始まったアメリカとソビエト連邦(現ロシア)との対立、いわゆる「東西冷戦構造」の国際社会は、その以前に個々の国家が経済的に独立してものがブロック経済構造を経て更に集積し、アメリカ合衆国とソビエト連邦と言う頂点に「極」を迎えたが、その一方の頂点であるソビエト連邦が崩壊した事から、緩やかな「極」の崩壊状態に有って、この20年前後は例えば「EU」「ASEAN」、「アフリカ会議」「中東」などと言った具合に少しブロック経済傾向を示していた。

いや国際社会がそうした傾向を求めていて、小さなものより大きなものが力を持つと考えてきた傾向に有るが、その思想の行き着く先は「国際経済」「国際協調」と言うものだった。
どの国家も単独では成り立たず、そこで少しずつ集まって行き、経済的には地球規模の一つの集積となって行った訳だが、基本的に生物の生存は「競争」によって得られるものであり、個々の人間は一見社会の中で互いに共存しているように見えて、その本質は「競争」を免れていない事から、その集積で有る国家もまた、本質的競争原理からは逃れられていなかった。

それゆえ「国際協調」と言う言葉は自国利益の為に使われて行った経緯があり、ここでは一番だらしない国から「甘え」の構造が始まり、この事が資本の有る国家の資本を、だらしない国家が甘えて吸い上げてしまう現象を引き起こして行ったのであり、この事実は国家単位だけでは無く、一般庶民も同じだった。

近いところで言えば東京電力の「国有化」もそうだろう。
いい加減でだらしない電力会社の為に我々の収めた税金が使われ、しかも節電に協力させられ、おまけに電気料金までもが値上げされる現実を鑑みるなら、一生懸命働いて真面目に暮らしている一般庶民と言うしっかりした資本から、だらしない電力会社と言う劣化した資本に資本が流れている構図は、EUに措けるギリシャと他の加盟国の構図と全く同じなのであり、ここで物理学的にこれを説明するなら、どの世界でも大体似たような事になる、いわゆる「自己相似性」「フラクタル原理」そのものだ。

世界経済は現在創造の段階に入っている。
つまり崩壊の前夜なのであり、アメリカやヨーロッパはこの20前後育んできた「ブロック経済」を何とか死守しようとしながらもがき、その一方で中東やロシア、中国はもっと小さな国家と言う単位で勝負して行く道を探ってきたが、ここに来て「ブロック経済」の持つ社会主義的劣化が腐食を始め、その腐食直前のヨーロッパ経済に依存していた中国経済は日陰に入って来た。

これから始まるものはそれぞれの国家の経済的独立であり、皮肉にもこれはギリシャの「ポリス構造」に近いものかも知れない。
おそらくこれからの国際社会は「経済的独立国家」の方向に向かうであろうし、これは縮小経済である。
資源が世界人口の消費に追いついて行かなくなる事から、まず食料危機が始まり、ここで世界はこれまでの生活の質を落として暮らしを維持する、若しくは武力に限らず「力」を持って貧しい国家から収奪し、自国の生活を維持するかのどちらかになって行く。

そしてこうした秩序の崩壊、これを嘆き悲しんではいけない。
ネジは何度も使っていると、やがてはあまくなってきて最後は使い物にならなくなるのであり、そこで新しいネジが必要なるのはものの理と言うものだ。
既に新しいネジはあちこちで創られ始めて来ている。
それが人類に取って恩恵となるか、それとも新たな苦難になるかは分からない。
だが、新しい秩序の始まりを私は歓迎しよう・・・・。

本文は2012年7月28日、yahooブログに掲載し記事を再掲載しています。