2020/03/27 06:17



物質は一般的に「化学統合」の形式でエネルギーを保存している。

つまりその瞬間ごとに他と反応しながら存在する事から、そのエネルギーの絶対値がどれだけで有るかは決定することができない。

 

物質の持つエネルギーは「自己」と「他」のその時の状態に有って、これが単体の状態を基準にしたなら、その状態と他の状態のエネルギーの増減は、反応熱の変化によって知ることができ、物質が化学変化を起こす時は必ず熱の出入りが存在する。

 

黒鉛1mol(モル)を酸素の中で完全燃焼させ二酸化炭素とする場合、394kJ(キロジュール)の熱量が発生するが、こうして反応によって熱が発生する場合の反応を「発熱反応」と言い、この逆で燃えて真っ赤になった黒鉛に水蒸気をかけると、黒鉛1mol中131kJの熱量を吸収して一酸化炭素と水素が発生し、このように熱を吸収して進行する反応を「吸熱反応」と言う。

 

ちなみに「J(ジュール)と言う単位は国際単位系「SI」で用いられるエネルギー単位で、物体に1N(ニュートン)の力が作用していて、その力の方向に1m動かす時、その力がした仕事を指し、「1Nm」が1Jである。

 

また14・5度の純粋な水を15・5度にまで上昇させる為に必要な熱量を1calと言い、1kcalは1000calの事になるが、これをJ(ジュール)に換算すると1calは4・184J(ジュール)になる。

 

物質は勿論化学統合だけでエネルギーを保存している訳ではないが、例えば分子間相互作用や分子の熱運動でもエネルギーは保存されているものの、これらのエネルギーは化学統合エネルギーよりは遥かに小さく、物質は高いところから低い所へ落下して行き、自然界にこの逆変化は存在しない。

 

位置によるエネルギーは高い所(位置エネルギーが大きい)から低い所(位置エネルギーが小さい)所へ、熱エネルギーは高熱状態(熱エネルギーが大きい)から低温状態(熱エネルギーが小さい)と言う具合に、自然界で起こる変化は常にエネルギーの高い状態から、エネルギーの低い状態へと変化していく原則を持っている。

 

これは言い換えるなら高温や高い状態という「不安定な状態」から低温や低い状態という「安定した状態」へ向かっていると言う事であり、こうした事を考えるなら生成物のエネルギーが低い方向へ進行していく「発熱反応」は自発的な進行になり易いが、反対に生成物のエネルギーが高まっていく「吸熱反応」は進行しにくくなる。

 

「吸熱反応」は何らかの手が加わらねば進行しない。

だが反応熱の絶対値が小さい場合、自発的に「吸熱反応」が進行する場合が有る。

これはどうしてか、実は物質の変化はエネルギーの変化によってのみ発生するのでは無いことを、この現実は示している。

 

物質を構成している素粒子もまた微小ながら熱運動をしている事から、物質はその散らばり具合の小さい所から、散らばり具合の大きな所へと動いているのであり、この場合の「散らばり具合」は「密度」では無く「乱雑さ」を指している。

 

面白い事だが物質はそれがある程度統合された「物質」と言うマクロでは安定へ動き、反対に物質を構成する分子や素粒子の単位では「乱雑」と言う方向に動いている訳で、考えようによっては物質は熱を滞留させておく容器の側面と、混沌と秩序が同時進行で壊され作られながら動いている性質を持っている事になる。

 


※ 本文は2012年11月29日、Yahooブログに掲載した記事を再掲載しています。