2020年4月18日、立憲民主党の蓮舫副代表が国債に付いて、これは国民の借金だと発言した事から、多くの批判を浴びているようだが、私自身蓮舫副代表と言う人物は好きではないが、是は是、非は非と言う観点に鑑みるなら、少なくとも国家予算を自分の財布と考えている麻生財務大臣よりは、国債と言うものへの認識は、当たらずとも遠からずのものが在るゆえ、蓮舫副代表を擁護しておく。
まず財務省のホームページには国債は「債券」としながら、最後に「金融商品」と表現されているが、この認識は誤りと言える。
財務省から始まってこの認識では、絶望感が漂う・・・。
国債は金融商品ではない。
国家が必要な予算を民間から集める為の措置であり、金融商品と言う認識をしていると、国債に拠って本来得られるべき利、若しくは回避されるべきリスクが、現実的には回避できなくなる。
国家は事業活動、利益活動している訳ではないので、国債の償還は必ず税金に拠ってしか為されない。
この意味では国債の発行は薄く広く、日本国民が負担すべきものとなる為、国民の借金と言う表現は、適切ではないが間違ってもいない。
国債が発行されると、近い将来償還の為、必ず債券額に応じた税負担がやってくる事になる。
この場合金利上昇局面ならインフレ、金利低下傾向ならデフレだが、どちらにしても金利に応じた額面と債券発行に伴う経費の分が上乗せされ、これが分割されて国民の税負担となる。
従って国債に拠って得られた利は、将来確実にやってくる増税分と相殺されるのが正しい国債の運用概念と言える。
まともな経営者、若しくは資本家は、政府が国債を発行した時点で将来の増税を認識し、その発行額面総額から国民1人当たり、どれほどの増税が発生するかを判断し、増税分が国債の金利に拠って相殺できる額面の国債を買うのである。
これを金融商品と考える者が増えると、国債の金利が不安定になり、国債は信用を失って資金調達金利は上昇する。
つまり、増税額が増える訳であり、国債に拠って金利を得た者が増えた場合、金利が上昇した場合も、その上昇した金利負担分の増税に繋がる事になる。
日本の国債は現在、国際的ルールからすると異常な状態に有り、その多くは日本銀行が金利を支払って民間金融機関に買って頂いていたのだが、この場合民間金融機関の金利益を、国民が税負担して支えていたと言う事で有る。
だがここ近年、こうした異常を長く続けると日本銀行、政府負担が上昇する為、民間金融機関への金利の支払いを止める方向に動いていて、こうした事から民間金融機関、銀行などが債務超過に陥った場合、これを政府が援助すると、これがやがて増税となって国民に降りかかり、政府が援助せず倒産した場合、一定の範囲で債務が償還され増税とはならないが、代わりに金融機関が提供していたサービスの範囲はどんどん狭くなる。
国民は増税か金融機関のサービス提供に関して負担するか否かの、不利益を被るのである。
そしてこうして無責任に為されて行く政府の政策、増税を国民としての義務と考えるか、或いは借金と考えるかは個人の認識に拠って異なるが、因果に対する効果は全く変わらない。
現在のようにウィルス感染に拠って国家、国民が非常事態に在る時、予算調達が国債に拠って為される事はやむを得ないが、これを金融商品だの政府の借金だから、自分には関係ないと思っていたら大間違いだ。
政府は事業者ではなく利益活動をしていないので、国債の償還は増税に拠ってしか賄われない。
蓮舫副代表の表現は若干乱暴で大きな勘違いではあるが、借金と言う考え方は間違っているとは言えないのである。