2020/06/01 21:54



東京に大きな被害をもたらす震源域として東京湾の南部、東京北東部にそれぞれ巨大地震の震源域が存在する、と考えられてきたのは断層研究の成果だったが、このそれぞれの周期は400年と100年とされた来た経緯は、関東に大きな地震が発生する周期が60年から100年だったからである。
 
一方で1970年代には69年周期説が発生してくるが、これの根拠は初めから希薄だった。
単純に1855年に発生した安政江戸地震から、次の1923年に発生した関東大震災までの年月が69年だったからである。
 
関東に大きな被害をもたらす地震の震源となり得るものは2つの要因がある。
一つは中央構造線と大地溝帯の東の端が交わる地点の動き、もう一つはプレート境界の動きに拠る震動である。
 
この内中央構造線と大地溝帯が交差する地点の地震は最大でM79、小さければM6程度の時も含められるが、プレート境界が動いた時の地震規模は、間違いなくM79以上になる。
 
プレート境界型の地震は推定で200年周期とされているが、この周期は半分が不活性期を持つ。
つまり、200年周期だが大体200年に一度発生すると言うものではなく、大きな地震にならずに済むものも含めた周期と言える。
200年前には大きな地震が有ったが、今回は無かったと言う極端な差が存在する周期なのである。
 
そしてこうした中央構造線と大地溝帯の東の端の交差付近震源と、プレート境界型地震を含めてM7・9から、それ以上の地震が発生する確率は、過去の古代地震を含めた統計で考えるなら、平均400年に1度なのである。
 
1703年に発生した元禄地震は残された記録から、その規模は間違いなくプレート境界型地震だった事が推定できる。
それから150年後、1855年に発生した安政江戸地震の規模はM69であり、この時の震源は東京湾北部、つまりは千葉県から、千葉県東方沖の震源だった。
 
その上で1923年の関東大震災を見てみると、震源は横浜市で有り、M79の大きな規模の地震となっている。
おそらくプレート境界滑り地震だったと考えられる訳で、1703年の元禄地震からほぼ200年後と言う事を考えるなら、周期的にも成立する。
 
それゆえ次に大規模地震が関東に発生する場合、直下型地震でM7未満の地震、巨大では有るが最大震度は6強までの地震になる、と言う推定は成り立たない訳では無いが、こうした200年周期の概念は冒頭の69年周期説と大して変わらない。
たまさかここ300年ほどが200年周期になっているだけで、過去の地震も含めると、M79以上の地震周期は400年に1回なのである。
 
が、2011年に発生した日本海溝地震(東日本大地震)以降、日本列島は常に太平洋側から圧されている状態になった為、日本列島全体が圧力を受けている。
この場合は日本各地で最初は震度1から2程度の地震が発生し、次にどこかで震度3から4が発生、4か月に1度はどこかで震度5くらいの地震が発生し、年に1回から2回、震度6以上の地震が発生する事になる。
 
この場合、関東方面の地震はプレート境界滑り地震の余震、若しくはプレート境界滑り地震に連動した動きとなり、以前から用いられていた周期予測は全く意味を無くする。
尤もその意味では東海、東南海、南海地震の周期も以前の周期秩序は完全に崩れてしまっている。
 
よく考えてみれば関東地震はプレート滑り地震発生時の影響の1つだったのかも知れない。
1703年元禄地震発生後、1707年には南海トラフ全域が震源となった宝永地震発生と言う具合で、関東地震が単独で発生している訳ではないのである。
1855年付近も、1854年に安政東海地震、翌日には安政南海地震が発生して、翌年に安政大地震が発生している事を考えるなら、これも単独で発生していない。
 
むしろ海溝地震に連動した前震、後震、余震と考える方が自然なのであり、その傾向は日本海溝と言うよりは南海トラフに拠り大きく影響されている傾向に有る。
結果から言えば日本海溝地震(東日本大地震)との関連性は0ではないが、南海トラフとの関係性よりも小さい事が推定される訳である。
 
東日本大地震が発生したからと言って、関東大地震を誘発する可能性は低い事になり、むしろこれから東南海、南海地震発生に連動して関東大地震が発生する可能性が大きく、この場合は関東に大きな地震が発生して東南海、南海地震が発生する可能性と、先に東南海、南海地震が発生して関東大地震になるかの2つの可能性が出てくるが、どちらが前になり、どちらが後になるかの確率は50%対50%である。
 
過去の記録から関東に大地震が来る前の兆候に付いて、記録に残っている周辺震動の傾向を見てみると、静穏と、細かい震動が多発してから大地震となる2つの傾向を持ち、静穏前兆の場合は、関東周辺で全く地震が無い状態が1か月から3か月続き、大地震が発生する。
 
一方茨木、千葉県の陸地で細かい震動が連続する傾向、この場合は3か月の間に300回から500回の微震(震度1から2の地震)が多発し、1か月に100回を超える微震が続く場合、関東に大きな地震が発生する可能性が高くなるが、誤解してはならない所は東京で微震が増加するのではなく、少し離れた茨木、千葉県で微震が連続すると言う点にある。
 
また先に東南海、南海トラフ地震が発生した場合、10年以内(平均では4年以内)に関東大地震の発生確率が極めて高くなる。
東南海、南海地震が発生した時、日本は10年以内に巨大地震被害と首都壊滅的地震の重複被害に見舞われる可能性が大きい。
 
だが現在の状況は、太平洋側から日本列島が圧されている状況なので、一番力の加わり易い日本海溝の端と中央構造線の端、つまり北海道南部と九州南部に巨大地震が発生し易い状態となっている。
 
関東地震の周期はM7以下とM79以上の地震を織り交ぜて平均100年に1度で有り、その内M79以上の地震が来るのは400年に1回だが、時々200年に1度の事もあると言う状態だった。
 
しかし東日本大地震発生以降は、海溝地震、東南海、東海、南海地震に連動性を大きくしている為、これらの地震が発生した場合は、首都に大地震が発生する確率が高まり、首都に大地震が発生した場合は、数年以内に東南海、南海地震が発生する事を覚悟しておかねばならない。
 
更に北関東を含めて1か月間、微震すら全くない状態と、北関東で1か月間に100回以上の微震が続く場合、ほぼ同じ確率で首都が大地震に見舞われる可能性がある事を記憶して置いて頂ければと思う・・・。