「ウキペディア」と「日刊ゲンダイデジタル」の記事及び資料の一部に誤りがあるのでここで訂正しておく。
「宏観異常現象」と言う表記が使われているが、同表記は言葉の意味としての整合性を欠き、猶かつ「日刊ゲンダイデジタル」では中国由来の言葉としているが、中国でこの言葉や漢字が使われた経緯は存在しない。
異常現象の宏観と言う表現は用いられていない。
そもそも中国では共産党革命に拠って、過去の地震予知に関する資料は全て廃棄、または焼却処分され、従って毛沢東の共産党政権以後、こうした言葉が日本に入ってくる時は「科学的予知」とされていた。
当時中国では「宏観地震予知」を「科学的予知」と表現していたのであり、「宏観地震予知」及び、「宏観」と言う言葉は日本で割り当てられた言葉で有る。
「宏観」と言う言葉は「より広く」と言う意味で有り、一般的に整合性と客観性、物理学的な説明が付く事象を一つのスケールとすると、これを超えて神秘的なもの、伝承や物理的説明の付かない事象を含めて観測する姿勢を「宏観」と呼ぶのである。
異常現象は初めから物理的整合性を予見できない意味を持ち、最初から特殊性を持つ言語で有り、異常と言う言語が初期に入っているなら、初めから「宏観」の意味は包括されている。
従って「異常現象」に「宏観」は無いのであり、「宏観異常現象」と言う表現は「より広く異常現象」、「より広い異常現象」と言う事になる。
このような表記は言語としての整合性を持たない。
「宏観」と言う言語の意味は決められた枠より外を含めて、と言う事だから、これの相対は「通常」や「科学的観測」の事であり、「異常」は初めから通常や科学的観測の外である事から、重複表記である。
「日刊ゲンダイデジタル」が中国由来としたのは、1975年から1978年前までの中国の地震予知を拠り所としたのかも知れないが、この時中国政府と同研究機関は、この予知方式を「科学的予知」としていた。
流石にウキペディアでは中国由来と言う表現は見られなかったが、「日刊ゲンダイデジタル」では堂々と「中国由来」と表記されていた。
如何に何も調査せずに記事を書いているかが明白であり、このような事では同メディア記事の信憑性は、極めて薄いと考えられても致し方ないと思う。
中国に措ける宏観地震予知は、古くは天文と気象、奇譚、英雄伝、歴史書として記録されたものであり、共産党革命で失われたこれらの資料を多少保存したのは、太平洋戦争で中国に進出していた日本軍だった。
それゆえ今日至って迄、「宏観地震予知法」資料を最も多く有しているのが日本なので有り、日本に措ける地震予知法の記録は、1000年前から記録が残っている。
最も盛んだったのは江戸時代であり、紙と墨が一般商家や豪農でも使えるようになった点が一つ、江戸時代は大きな地震や火山噴火が多かった点が二つ目の理由である。
「宏観」は「広く観測する」だから、この次には「何を」が続き、もっぱら地震の前兆現象に対して使われた事を始まりとし、その使われるようになった歴史も100年と言う単位を超えていない。
それゆえ「宏観」と言えば「地震予知」が続き、基本的には気象庁や大学の研究機関などが為す、科学的地震予測に相対する方法の地震予知の意味で使われる。
元々幽霊などを目撃したなどと言う、異常現象までも包括するものではなく、「科学的観測」以外の「地震予知観測法」を指していた訳である。
「広く、異常現象」では、言語として成立しない。
「宏観異常現象」と言う使い方は誤りであり、中国から由来された言葉ではない。
「宏観地震予知」或いは「宏観地震予測」などの運用法が正しい使い方である。