2020/10/05 07:27



地球の気候を為すそのエネルギーは太陽光に拠って維持されているが、ではこれが全て太陽に依存する受動的なものかと言うと、少し違う。
 
地球は入ってくる太陽光を反射していて、この反射率を「惑星アルベド」と言い、地球の場合はこの数値が30%と言われているが、こうした地球に措ける反射率の構成要因の一番大きなものは「雲」である。
 
つまり太陽と雲は惑星アルベド30%を双方で支え合っている関係に有り、どちらかのバランスが崩れると地球の気候は大きく変化する事になるが、例えば1年間を通して発生する全地球の雲の総量は、少なくともここ30年は変化が無い。
 
地球の雲の総発生量は、凡そ現在の気候になってから以降、一定で有ったことが推測されていて、この雲の総発生量が一定で有る事から、地球の太陽光反射率も一定に保たれているのだが、では何故地球に措ける雲の発生総量が常に変化しないのか、その厳密な理由については解っていない。
 
現在地球の気候を考える上で二酸化炭素の量が問題視されているが、例えば全地球の二酸化炭素量が現在の2倍になったとして、この温室効果を相殺する地球の反射率上昇は惑星アルベド2%の増加である。
 
地球の太陽光反射率が2%上昇しただけで、倍増した二酸化炭素量の効果は消失する。
この事から地球の気候が維持されている最も大きな力は「雲」と言う事になるのである。
 
また二酸化炭素は炭素原子だけを見るなら循環していて、二酸化炭素、メタン、有機物の形で地球表層に存在しているが、この内有機物は植物や海洋生物体を構成していて、これが死後海底に沈んだり、或いは有機質泥岩などになった場合、二酸化炭素は地球に固定された形になる。
 
更に植物は光合成によって二酸化炭素を取り入れる事から、ここでも二酸化炭素は固定されるが、この固定は植物の死滅と共に解放される為、厳密には流動性の二酸化炭素となり、地球に措ける二酸化炭素の総量は基本的に一定であったと見られている。
 
そして発生当初の地球では酸素濃度がとても低かったが、約27億年前、初めて光合成を行うバクテリアが発生した時から、徐々に酸素濃度は高まり現在の状況に有るが、二酸化炭素量は確かに短期的には一定で有るものの、例えば過去40万年と言う単位で見るなら、190ppmvから280oomvと言う大きな幅で変化していた事が解っている。
 
つまり我々人類のみが二酸化炭素の増減の理由ではないので有り、自然界だけでも食物連鎖の非バランス現象が発生した場合、二酸化炭素量は大きく変化すると言う事である。
 
もっともこうした過去40万年と言う単位の中では氷河期と間氷期が存在し、こうした寒冷化と二酸化炭素の増減、生物の変遷、それに惑星アルべドがどう拘って来たかは解析できていないが、決して無関係では無かった事が伺える。
 
しかし、やはり地球の太陽周回軌道の変化、地軸傾斜率の変化に拠る変動、「ミランコビッチ・サイクル」こそが決定的気候変動原因と考えられ、この場合は雲の総量の0・296%増加から寒冷化が始まり、やがて氷河面積が広がって地球の太陽光反射率が高まり、寒冷化するものと考えられている。
 
ここで大切なのは寒冷化の初期が雲の総量の微増と言う点である。
 
ミランコビッチ・サイクルの初期には、最初に僅かな反対側への動きが有って、そこから寒冷化の方向に向かう可能性を考える必要が有るのかも知れず、その場合のサイクル反動期間は数年と言う単位ではなく、場合によっては数日の単位で変動へと向かう可能性が出てくるのである。
 
そしてこうして始まった寒冷化は、温室効果ガスである二酸化炭素を容易に地上に固定し、生物を死滅させる事から、大気中の二酸化炭素量が減少し、ここでも寒冷化に向かう事になる。
 
結果から言うなら、地球の気候変動は人間の二酸化炭素排出量の増減に関係なく発生するのであり、二酸化炭素量の増大は、確かに温室効果から地球の温暖化をもたらすが、この事をして氷河期が訪れない、氷河期を免れると言う事にはならない。
 
むしろ全く関係なくやってきて、しかもその場合は一瞬にして温室効果ガスの効果を消失させるものと予測されている。
 
我々は気象と言う一つの結果の中で地球の温暖化と寒冷化を見ているが、この両者は同一線上のものではなく、決して交わらない離れた2本の線であり、過去には確かに造山活動で地殻内部から噴出するメタンガスなどで影響を受けた気象変動が存在したが、現在の地球表層大気に蓄積される二酸化炭素による温暖化と、寒冷化は全く違ったシステムで、寒冷化は温暖化の影響外にある。
 
二酸化炭素の発生原因は地球の生物に拠るが、太陽周回軌道や地軸の傾斜率は地球そのものの事情である。
ここでは地球表層近くで温暖化となりながら、どこかで寒冷化も激化している、温暖化と寒冷化の同時進行の可能性も考えられ、この攻防の結果は既に決定している。
 
生物の事情と地球そのものの事情では比較にならない。
ミランコビッチ・サイクルは定常比較線でやって来ない。
必ず周期や波の形でやってきて、ここでは温暖化の中に寒冷化が時々混じってくる現象を繰り返しながら、やがてある日沖縄に雪が舞う事になるかも知れない。
 
地球温暖化は人間や生物の事情だが、寒冷化は地球の営みであり、それはフラクタル(自己相似性)に在りながら、決して容積、表面積、形が完全一致する事の無い「雲」の総量変化、言い換えれば水の液体、氷、水蒸気と言う3つの状態変化の中で、自由移動可能な状態の水、「雲」の増加から始まる・・・・。