2021/01/24 17:34

 

[保勘平宏観地震予測資料編纂室 公開通知第4016号]

 

地球の陸地の平均高度は840m、これに対して海の平均深度は3800mですから、地球の平均は水深3000mの水の惑星と言え、全海洋面積の30分の1、深さ100mの水温を1度上昇させるエネルギーは、地球の全陸地の気温を1度上昇させるエネルギーと等しくなります。

 

この事から海水温が気象に与える影響は大きく、南米エクアドルからペルー近海では、12月から3月にかけて沿岸に暖かい海水域が発生します。

 

特にクリスマス頃に多く現れるこの現象は、折からバナナの収穫期を迎える現地の人たちには、天の恵みとなっていました。

彼らはこの温暖な海水域の出現に感謝し、「神の子・男の子」(エル・ニーニョ)と呼びました。

 

一方、赤道西太平洋と赤道東太平洋の地上気圧は、海水温の変化に拠ってシーソーのように振動し、マイナス0・8の逆相関を示します。

これを南方振動と言い、タヒチとダーウィンの気圧差を南方振動の指数と言い、この指数が大きなマイナス値になると、ペルー沖の温暖な海水域は太平洋赤道付近まで拡大し、これを気象学では「エルニーニョ現象」と呼称します。

 

そして1980年代、エルニーニョの逆、つまり西太平洋熱帯海域の温暖海水域出現も存在するのではないか、と言う考え方から「ラニーニャ現象」(女の子)と言う気象用語が出現してきます。

 

しかし、「ラニーニャ現象」の存在は実は微妙なもので、エルニーニョ現象との比較上概念である事から、考え方としては左右両方の手で拍手をした時、「パンッ」と言う音が右手から聞こえたか、左手から聞こえたかと言う、そう言う話でしかない可能性が有ります。

 

日本に措けるエルニーニョ現象とラニーニャ現象の影響ですが、エルニーニョ現象では冷夏、温暖な冬、ラニーニャ現象では寒冷な冬、夏の猛暑と言う関係式が一般的ですが、こうした関係は2000年代に入って統計学的には否定されています。

 

エルニーニョ現象の時、必ずしも温暖な冬ではないケースが40%以上存在し、冷夏ではない夏がやはり40%以上存在します。

つまり半々な確率と言う事ですが、これは何を意味するかと言えば、統計的な関係が無い、若しくは関係が薄いと言う事で有り、この比較上概念である、ラニーニャ現象と日本の気象の関係は更に希薄になってしまうと言う事です。

 

2012年1月は前半が寒冷な冬で、後半は温暖な冬になりますが、これを前半はラニーニャ現象の影響で、後半はエルニーニョ現象の影響とする気象予報も存在しますが、そもそも地球半周も距離の離れた地域の現象が及ぼす影響が、2週間ほどの単位で切り替わると考える方が乱暴な考え方と言えるでしょう。

 

2021年1月の気候は、本来なら全期温暖なはずでした。

しかし、北極の寒冷渦がちぎれて中緯度近くまで南下した為、北半球の中緯度が寒冷な気候となってしまった経緯が有ります。

 

この原因はやはり温暖化で、北極の寒冷域が少し力を失ってきている為と考えられ、この原理は勢力が落ちた台風と同じです。

台風は勢力が強い時には中心付近に暴風域を集めていますが、勢力が衰えるとこうした暴風域も分散し、部分的に周辺にまでちぎれて行きます。

 

2020年12月後半から2021年1月前半にかけて、北半球が寒冷な気候だったのは、北極の寒冷域勢力の衰えが原因と考えられ、シベリアで観測された1090hp以上の高気圧なども、ここに原因を求める事ができるかと思います。

 

日本は2021年1月22日から、それまでとは打って変って、とても気温の高い冬になって行くのは、エルニーニョ現象の影響ではなく、ラニーニャ現象の衰退でもなく、単に北極からちぎれた寒冷域が消滅した為と推測するのが自然かと思います。

 

ただし、1月後半から2月3日の立春までの期間は「大寒」です。

本来なら寒冷な状態が自然なのですが、これが温暖と言う事になると、若干不穏なものを感じてしまう事になります。

 

古来より「大きな地震の前には温暖なものなり」と言われる、その温暖とは本来は寒い時期での暖かさ、または通常では有り得ない気温の上昇を指し、記録統計的には温暖な気候が長く続く場合、その温暖な状態が平均値に戻った時に大きな地震が来易いと言う事になります。

 

また大きな地震は晴れた風のない時に来易いのですが、では雨の日に地震は無いのかと言えば、雨の日も地震は来ます。

唯、雨の日に来る地震は震度4以下のものが多く、震度5を超える地震は、やはり晴れた日を警戒するのが本旨だと思います。

 

そしてこれは地震と晴れた日の関係の特例なのですが、地震と気象の関係では、普通列車と特急列車の関係が存在し、大きな地震の場合は「晴れた日の状態」を、強制的に気象へ割り込ませて発生するケースが有ります。

 

低気圧が通過中で、どう考えても晴れる状態が考えられない時でも、大きな地震の場合は、それを止めて晴れて風のない状態を作って、やってくるケースが過去4件存在しています。

 

更に7日から10日以内に、同じ地点を低気圧が3個以上通過した場合、その地点は中規模以上の地震の震源になる可能性が有り、このデータは気象庁も1986年に原因は不明としながらも、その事実を全国版の気象予報時に紹介した経緯が有ります。

私達が概念する科学的とは何でしょうか・・・。

数値ですか、それとも理論ですか・・・。

エルニーニョ現象と言う事象が在る事は解る、それが南方振動に拠って計られる事も解る、しかしなぜ南方振動が存在するのかは解らず、なぜエルニーニョと言う現象に繋がるのかも解っていない。

 

こうした状態は物理学も数学も、位相幾何学も同じです。

それは事象の確認であって、その原因が解っているものは何一つなく、現実には理論と言う推測の、細い針金1本を根拠に超高層建築物を建てている状態で、言い換えれば科学と言う宗教をやっているようなものかも知れません。

 

しかし、現段階に措ける、人類ができる最上でも有ります。

この事を弁え、科学的と言う言葉に溺れる事無く現実の事象を見つめ、その事象同士がどう言う関係に在るか、それを一緒に探って行きましょう。

 

温暖な冬は、その温暖が終わってから1週間以内、更に少し低温気味の気温に戻った場合は、それが平年並みになってから25日以内を警戒しましょう。

 

分かり易く言うなら、1月に10日くらいの温暖期が在る場合は、それが終わって1週間後、1月にかなり長い温暖期が在る場合、3月に大きな地震が来易い統計的傾向があると言う事です。

 

 

[保勘平宏観地震予測資料編纂室 公開通知第4016号]

 

資料編纂責任者  浅 田  正