2021/12/09 20:54


プレートテクトニクス理論の常として、プレート沈み込み部のエネルギーや移動速度が、海嶺、つまり圧す力の発生源より大きくなるケースは多くはならない。

尤も、海嶺付近がマントルの上昇運動地点頂点ではない事から、プレートの中盤にかけてエネルギー値が大きくなることは在り得るが、それが地震に反映される程のエネルギーにまで達すると、地震は小規模、中規模の範囲に留まることはできない。


為に海溝や直前のプレート端が隆起し、これが日本列島が形成された要因の一つでもある。


トカラ列島で頻発している地震のエネルギー方向は、両側張力の正断層地震である事から、その環境モデルは両側2点に沈降部分がある箇所の中間、大きなプレートから圧されている地点の対極線地帯、若しくは下からの隆起が存在する場合の3種に大別される。


簡単に言えば両側に沈み込みが在る場合、下に引かれて行く地点と残ろうとする地点の限界では、正反対の方向に力が加わり、破断しようとする力が働く。


大きなプレートから圧されている形のモデルはフォッサマグナ〈大地溝帯〉の省略モデルだが、圧される事で、その反対側では亀裂部分が両側に裂けようとする力の事で、最後の下からの隆起は火山活動、若しくは地殻隆起に伴って、中心付近から左右に裂けて行こうとする力の事である。


トカラ列島付近では2点が沈降している箇所はなく、フォッサマグナ付近のような環境でもない為、張力正断層地震である場合、簡単に言えば震源も含めた周辺の火山噴火活動に伴うものと考えるのが妥当である。


日本には特定の周期を持たずして、微震から中規模地震が1カ月、長ければ半年ほど継続する地点が3箇所存在し、1つはフォッサマグナが在る長野、岐阜県堺、海底火山が散在する伊豆半島東方沖、そして南西諸島火山群の中にあるトカラ列島である。


これらの地点では周期と呼べる規則性もなく、突然時々中規模地震を含んだ微震が頻発し、しかもそれが数カ月に渡って継続するケースが多く見られる。


こうした震源域地震の場合、火山性微動とは異なるのだが、前震、本震、後震、余震と言うモデルが存在しない。

場合によっては1日に何百回と言う微震が続き、時折中規模地震が混じる形で、数カ月から半年くらい継続する。


この意味では火山性微動に性質は近いのだが、観測波形は火山性微動と同じにはなっておらず、例えばM値で7を超える大規模地震発生の確率は低い。


トカラ列島の地震は震度1から3くらいの地震が頻発する時期、地震が少なくなる時期を繰り返し、時折震度4、5を含みながら、今後1カ月、長ければ3カ月ほど続く。

傾向として微震発生回数が減少すると中規模地震が発生する可能性が、僅かだがこの反対のケースよりは多くなる。


因みにここで警戒すべきは地震に対しては勿論だが、周辺200kmを含めて火山噴火、海底火山噴火に警戒するべきだろうと思う。


我々は地球を概念する時、それらは一分の隙間もなく物質で満たされたパズルのようなものを想定し易く、その意味であらゆる事象は無関係ではないと考えられるが、しかしミクロ、原子の単位では核を周回する中性子や電子の現代モデルは位置的非確定モデル、確率と言う「雲」の濃度で概念されている。


人間が見る物質はきっちり詰まっているが、ミクロの現実はその存在がどこにあるかは決まっていない、スカスカのものでもある。


地震は地球的規模で観る必要もあるが、人間一人々々の単位で観るなら、これでは間に合わない。

直近の事象を分離しながら捉え、それ積み上げてマクロの視点とする方が、おそらく望ましいだろう。


結果から言うなら、トカラ列島の群発地震と北関東の地震は関係が薄く、ましてやこれらを統一的に考えるのは、事象の全てを反映させるには至らない。

トカラ列島の群発地震と北関東の地震を総合的に考えて南海地震の前兆と考えるは、最初に結果在りきの恣意的予測でしかないと思う。


能登半島では今年春に一度芽吹いたケヤキ、桜や柿、スモモ、モモなどが夏にもう一度芽を吹き、ケヤキ等は10月になって落葉してからも新芽が吹く異常さだった。


これらは暑い気温が影響していると考えられるが、では1992年から現在まで、今年より気温の高かった夏がどのくらい在ったかと言えば、実に12回の夏で今年より平均気温が高く、1995年のそれは8月の気温で今年より平均2度高く、2010年の夏も同じく今年よりは2・5度高かったが、春に新芽を吹いた落葉樹が夏にもう一度新芽を吹くなど観測されていない。


結果、今年奥能登の多くの地点では柿が全滅だった。

柿には表年と裏年が在り、豊作と不作が繰り返えされるが、そのレベルではなく「全滅」であり、同地域に60年、70年と営みを続けてきた者ですら、初めての経験だった。


ただ気温が高い事を原因とするなら、落葉樹の異常は過去にも存在するはずだが、今年に限ってそれが発生するのは何故か、また羅臼では例年捕れないサバが大漁になり、これも海水温だけが原因なら、今年だけではなく過去にも発生しなければならない事になるが、「こんな事は初めて」と語る高齢女性の存在は軽くはない。


おそらく1年から3年と言う、少し先の未来には「何か大変なものが待っている」ような気がするが、それは近くまで行かないと何かが分かず、多分南海地震ではないと思う。


現状から推測するに、先に相模トラフ、つまり関東地震が来る。

その時期はこの3年以内と思われるが、その少し前には政治的混乱、若しくは経済的混乱が発生し、或いは株の大暴落と連結するかも知れない。


地震は専門家と言われる者ほど科学的に傾倒してカルト状態になり易く、直近の危機を見失い易い。

多くの大きな地震の前には専門家が騒ぐのはなく、市井の民衆が先に「何か悪いことが起きそうだ」と騒いでいるものであり、この意味ではミクロ的には個人の「直感」の集積である。


それらしい科学の言葉に惑わされるよりは、自分の「勘」を信じる方が的中確率が高いと言える・・・。