2022/01/30 19:43

人間が描ける世界には必ず限界が有り、個人が意識できる世界観はそんなに広いものでは無い。

従って如何に世界的な事を、または全宇宙的な事を考えていようと、それはその個人の世界観を超えることはできず、言わば現在の時点でそれが考えられると言う状況、環境でしかなく、これは政治の世界でも同じ事が言える、否、政治の世界ほど狭義に陥り易い。

日本は現在の時点で国際的なリスクと看做されている事を、日本の政治家はどれだけ認識しているだろうか。

東日本大震災が発生した直後から始まった日本政府の原子力発電所に対する認識の甘さ、今こうした日本の政治的な瑕疵状態が国際的なリスクになりつつある。

西ドイツ政府は早い段階から日本の原子力制御能力に対する深い疑惑を表明していたが、アメリカ上院でも既に原子力発電所の制御能力を失っている日本政府に対し、独自の対策が必要だとする意見が出始めている。

元々アメリカの主導で進められた日本の原子力発電所政策だが、背景にアメリカが存在することから日本は核燃料が集積、増大するリスクを甘く見すぎていた。

ウランを核融合させた場合、元のウランより多いプルトニウムが発生し、このプルトニウムをウランで希釈して燃料とするプルサーマル方式の発電所は、加速的に日本のプルトニウム保有量を増大させていった。

その為2005年ノーベル平和賞を受賞したIAEA(国際原子力機関)元事務局長「モハメド・エルバラダイ」の言を借りるなら、「日本のプルトニウム保有量がもたらす脅威はイランや北朝鮮の比では無い」との言は極めて現実に即した意見だったのであり、日本のプルトニウム保有量は隠れた国際社会のリスクだったのである。

それゆえ日本は早急に保有するプルトニウムを使い切らなければならない、と言う国際的な圧力から原子力発電所を建設し続け、プルサーマル方式を推進するしか無かったのだが、東日本大震災発生後の日本政府の有り様、その後全く根本的な解決策を持たない福島第一発電所の処理を鑑みるに、日本政府や東京電力はこの事故の処理能力を有していないのでは無いか、そんな疑惑が国際社会に浮上してきていた。

現実に今もって福島第一発電所の使用済核燃料の処理は全く進んでいないが、同施設内には広島型原爆4500発分の放射能量を発生させる使用済み核燃料が不完全な状態で冷却、若しくは水に露出した状態のままになっていて、この処理が終わるまでには30年以上の歳月を要する。

しかし日本政府はこうした事態に対処する具体的な方法を提示していないばかりか、同地を再度大きな地震が襲う可能性が充分有り得るにも関わらず、全くその防御策を講じていない。

更には活断層の存在が指摘されている福井県大飯発電所、石川県志賀原子力発電所を稼動させるなど、全くの迷走状態になっている。

この事から東日本大震災発生当時は疑惑だった日本政府の政策に対し、現在は明確に「危険である」と言う国際社会の判断が為されて来ているので有って、国際社会に措けるドジョウ総理とその政権の信頼は0どころかマイナス、大きなリスクになっている。

万一福島原子力発電所付近で再度大きな地震が発生し、使用済み核燃料が露出した場合、風向きによっては東京都とその付近の大都市は全く人の住めない無人の廃墟となる可能性が高く、そもそも原子力発電所建設に関する法律では、活断層の上に発電所を建設する事自体が禁止されている。

にも関わらず活断層の存在が指摘されている大飯発電所を稼動した上で、原子力保安院が今後関西電力に再調査を指示したと発表するのでは、もはや法律が云々の段階では無く、支離滅裂と言うものだ。

法律に従うなら、まず大飯原発の稼動を停止し、再調査、再評価を行うべきで、しかもそれをいい加減な調査しかせずに誤魔化してきた電力会社に再調査させるなど、この事を誰が評価できるだろう、信頼できるだろう。

人類が現段階で原子力を制御できる能力は20%以下で有る。

それゆえ細心の注意を払っても事故は発生するのであり、ここで細心の注意が為されなければ大事故、大惨事は必至であり、国際社会はこれをリスクと捉えている。

すなわち世界は事故に関して危惧を抱いているのでは無く、この無能な、と言うより愚かさが周囲に危険をもたらす日本政府、民主党政権をリスクとしているのであり、この緊急時に消費税増税に政治生命を賭けている野田政権は、どう考えてもクレイジーにしか見えないのである。

消費税を上げて国民から税金を取ろうにも、東京が放射能に侵されて住めなくなったら、また巨大地震で原発施設が破壊され、国民が死んでしまってからでは誰が消費税を収めてくれるのか、その危険性がこの数年の間に起こる可能性が有るとしたら、今政治生命を賭けて為すべき事は決まっている。

民主党、野田政権と日本の電力会社には原子力発電所を稼動させるに資する能力が無く、その能力が無い者が更に既存していた最低限の法律までも無視して原子力発電所を稼働させた場合どうなるか、このリスクはヨーロッパの経済危機など比べようもない程大きな世界的リスクなので有る。

民主党が真に日本の事を思うなら、国民の幸福と安寧を願う政治を行いたいのなら、その方法は一つしかない。

即刻野田政権を総辞職させ、国会を解散して次の政権に道を譲る事だ・・・。

[本文は2012年7月19日、Yahooブログに掲載した記事を再掲載しています]