2022/04/03 10:28

「AFP通信」(L Agence France-Presse)8月13日11時54分配信、ニュージーランド沖の海上に浮かんでいる大量の軽石が発見された記事に関して、この怪現象と近似する現象は1928年、1960年にやはり同じような場所で、2回発生している事が記録に残っている。

2012年8月9日、ニュージーランド沖1000km付近の上空を飛んでいた同国空軍機は、太平洋上の海域で長さ460km、幅56kmに渡って海上を大量に漂流する軽石群を発見、すぐさま付近を航行中の海軍艦艇に連絡したが、同艦艇に乗り込んでいた科学者達はこの現象に関して、最近活動が活発化している海底火山、「Monowai」から噴出したものと見解し、現場を目撃した海軍士官の報告によれば、その軽石群は海面から50cmほど頭を出した状態で漂い、白く輝いて氷の柱のように見えたとしている。

一方1960年1月2日、ビトケルン島からニュージーランドに向かっていたイギリスの商船「コリンシック号」でも、やはり似たような海域で不思議な現象に遭遇していた。

最初に発見したのは甲板で作業していた乗員だったが、天気も良く乾いている甲板のあちこちで、不規則な形の濡れたシミのような跡が点在してるのを発見、思わず上から何か降っているのかと思って見上げたところ、何とそこには直径1mほどの綿飴のようなものが幾つも空中を漂い、それが延々と続いていたのだった。

そしてこの正体不明の浮遊物は長さ1500km、幅4~5kmに渡って続き、面白い事に舟の左半分には沢山浮いているのに、右側半分には全く浮遊していなかった。

この現象はニュージーランド沖250km付近まで続き、浮遊物は絹のように滑らかな表面で、船に落下すると溶け、粘った水のようになっていた。

更にこの現象に関して、当時のドミニオン博物館、生物学者「J・C・ヤルドーイン博士」並びに地質学協会「G・L・シャウ博士」は、海底火山噴火によって発生した軽石の一種だろうと見解していて、当時「コリンシック号」の船長だった「A・C・ジェームズ」は、やはり自身がまだ見習い航海士だった1928年、大きな地震が発生した直後、同じような浮遊物が沢山浮かんでいる光景を目にした事を記している。

この事からニュージーランド沖の特定の海域では海底火山噴火によって噴出された軽石が、或る時は海水と何らかの化学変化を起こし、それによって噴出された軽石が空中を沢山浮遊するケースと、同じ火山噴火でも海水よりは比重の軽い軽石として、海に浮かぶパターンがあることが理解できる。

だが問題はこうした現象が今回のニュージーランド空軍の発表で3回目になるにも拘らず、どの現象も一致点が少ない事だ。
1928年、「A・C・ジェームズ船長」が見た空中を浮遊する物質は「汚い雲」と言う表現が正しいだろう、まるで白い雲が泥で汚れたような塊となって空中10m付近を漂い、それは長さ500km、幅も500km程の海域上中を漂っていた。

ところがこれが1960年の目撃例になると、それは乳白色に蜂蜜が混じったような色になり、その表面はまことに滑らかだった事が記録されていて、しかもその浮遊物が甲板などに落下すると次第に溶けて行ったとされ、今回のニュージーランド空軍の発表では海に浮かぶ大量の軽石、それは氷のように綺麗な色となっている。

おそらく現象として全く別のものでは無いだろう、しかしこうした現象にはもしかしたら同じケースと言うのが有り得ないのかも知れない、また或いは3つから4つのパターンが有って、そのパターンが1回ずつ現れた可能性も有るが、いずれにしても凡そ2万6000平方キロメートルから4万平方キロメートルに及ぶ海域で、沢山の軽石が海に浮かぶ現象や、その10mほど上空を1m程の綿のような物質が大量に漂う現象は有り得る事が確定し、原因は何らかの形で海底火山に求められる事が推測できる事になった。

1960年の事例までは、この現象は「怪現象」だった。
全く想像も付かない現象で、当時海底火山噴火に伴う軽石の浮遊と言う説も、「A・C・ジェームス船長」は信じていなかった。
だが私はどこかでとても今日は嬉しい。
今は役に立たなくても50年後、役に立つ事も有ると言う事だ。

「A・C・ジェームス船長」の1928年の記録が有り、1960年の記録に繋がり、そして2012年8月には私の中でしっかり怪現象が繋がり、もはや「怪現象」ではなく、物理的に有り得る現象となった。
記録を取ることの重要性、その素晴らしさを身に沁みて理解する事ができた。

その当時は人から笑われ、何の価値も無い話と思われる事でも、いつか数十年後にはそれを求める者が出て来る。
いつか自分が残した記録の価値を感動の涙を以て判ってくれる者が出てくる。
この事の嬉しさは他の何にも例えようが無く、こうした地道な作業がいつか科学でも解明できない現象を、太陽の下にさらけ出してくれる日が来ることを信じることができる。

今日ニュージーランド沖で発生する現象を解明してくれたのは「A・C・ジェームズ船長」であり、「J・C・ヤルドーイン博士」、「G・L・シャウ博士」と言う事ができる。
一度もお会いした事は無いが、私は彼等に敬意を表すと共に、親愛なるものを感じている。

そしていつか自分の記録もそうした日が来る事を願い、怪現象の記録を続けて行きたいと思う・・・。


[本文は2912年8月14日、Yahooブログに掲載した記事を再掲載しています]