2022/04/03 10:31

プーチン大統領の最も大きな誤算は、ウクライナの抵抗が、ここまで大きいとは想定していなかった事だろう・・・。

 

「脅せば粗、無抵抗」と考えていたのだろうが、この辺がソビエト時代の人らしいとも言え、しかし一方のウクライナ大統領は現在44歳、ソビエト崩壊の時10歳にもなっていない、今の時代の人で有り、理想など暴力の前には悲しい程無力なものである事を、知らない世代の人だった。

 

加えて理想主義が何とか維持できていたEU諸国、NATOの言葉に拠る支持も在った為、ウクライナは世界対ロシアの独裁者と言う、構図上の優位性を観るに至り、本来の軍事力を超える能力を発揮する結果となった。

 

しかしEUNATOが行っている支持の質は、それが共同体である故に凡庸、腰が引けたものとなり、この点ではエネルギーをロシアに依存していたヨーロッパ諸国が、大きな事は出来ないと踏んでいたプーチン大統領の予想は当たっていた。

 

ウクライナのゼレンスキー大統領が信じた「支持」とは武器の無制限供与、場合に拠ってはNATO軍の一部参戦までも想定していたかも知れないが、「頑張れー」の言葉だけだった現実に直面し、2022年3月29日現在では「停戦協定」の妥協案を想定しなければならなくなっているだろう。

 

クリミア半島に隣接する州の独立に関して国民投票と言う言葉を発しているのは、それが軍事的脅威に屈した形ではなく、ウクライナの民意でそうなったと言う形が必要だからであり、既にロシア軍の侵攻から1カ月が経過し、ウクライナが被った悲しみと苦しみは計り知れない。

 

ゼレンスキー大統領の頭の中には、ウクライナの為に死んで行った者たちの誇りと、ウクライナの尊厳を守れる形での譲歩、それはクリミアに隣接する州の独立の承認と、NATO非参加を条件に停戦交渉に持ち込む事に他ならない。

 

また極端に軍事費が厳しいロシアとしても、既に1カ月以上軍を派遣し、ミサイルを撃ち込んでいるのは苦しく、世界的な制裁を受けて国内の経済活動は壊滅的な状態に落ち込んでいる。

 

プーチン政権に対する国内の批判も大きいが、ウクライナが伝えているような「プーチン大統領暗殺計画」等の動きは全くない。

 

ソビエト時代の栄光を知る高齢者世代とインターネットで地球が1つになっている時代に生まれてきた世代とでは、ジェネレーションギャップが発生しているものの、その活動を暴力にまで求める思想が若年世代には醸成されていない。

 

ロシア国内のウクライナ侵攻反対者は暴力を否定するが故に、自身が暴力に傾く事をしない。

これを暴力が支配するのは容易い。

ただ、そうは言ってもプーチン大統領を支える「親衛隊」内部でも、孤立したロシアと、その国内情勢に鑑みて、当初数日で終わると想定していたウクライナ侵攻作戦の長期化は避けねばならず、プーチン大統領を満足させ、ウクライナの尊厳を損なわない形の妥協案を考えねばならない時期に来ている事は事実で、ここでどうも諦めてしまったのが、ラブロフ外相とセルゲイ・ショイグ国防相ではないかと思う。

 

2人とも既に顔が死んでいるが、特にショイグ国防相は自分の意見など聞かない、プーチンへの意見具申は完全に諦めたように見受けられる。

かなり長い期間姿が見えず、その疑惑を払拭するように現れた事から、既に自分の自由意志では行動できない状態になっている可能性が在る。

 

現在プーチン大統領に盲目的に従っている親衛隊長はロシア安全保障会議書記、「ニコライ・パトルシェフ」、ロシア連邦保安局「アレクサンドル・ポルトニコフ」で有り、実質的にはかつてプーチンとは盟友で有ったラブロフ外相、ショイグ国防相はこの2人の指揮下に在る。

 

役職名からしてプーチンのソビエト時代への憧れのようなものを感じざるを得ないが、現実主義のラブロフ外相、ショイグ国防相グループは体制主義のパトルシェフ、ポルトニコフの間接的恐怖支配下に在る。

 

軍事費用がひっ迫し、国内経済が止まった状態は何とかしなければならず、ロシアが勝った形を取りながら、ウクライナも完全に屈した形にならないような、停戦交渉が求められるのは、ウクライナの後ろにEU、NATOやアメリカの「頑張れー」が在るからであり、相互が屈辱的にならすに済む方法、両側勝者の形は「引き分け」である。

 

ロシアはクリミア半島に隣接する東部の州を制圧、ゼレンスキー大統領は東部2州の独立を国民投票に拠って承認する事、NATO加盟を断念し中立を保つ事を宣言した段階で、ウクライナ侵攻作戦の完了をプーチン大統領が宣言する、と言うのが現実的な妥協案ではないかと思う。

 

ゼレンスキー大統領は深く絶望した事だろう。

あんなに支持してくれていたEUNATO、アメリカも「頑張れー」と言ってくれたが、第三世界大戦を恐れて戦闘機の1機も動かしてくれなかった。

 

自身があこがれていたEUNATOの薄さに失望し、これではNATOに加盟したところで何の意味もない事を実感したに違いない。

 

だとしたらNATO非参加、中立はもはやそんなに妥協できない話ではなく、実質ロシア拠りの地域独立承認はまた、現実統治上の合理性もある。

「平和」とは何かを深く考えた事だろう。

 

限界に達しているロシアもまた、この辺が交渉上の頂点と考えられ、これを過ぎれば共倒れの可能性も出てくる。

 

プーチン大統領やその親衛隊の諸氏は、もうすでにソビエト時代は「過去」であることを再認識する機会になったと思うが、既に老人特融の情緒不安と総合判断能力の低下現象が現れているプーチン大統領、場合によってはウクライナ全土支配の後、傀儡政権を樹立してウクライナ解放宣言までの頑迷さを見せるかも知れない。

 

そしてこうした事態になってもEUNATO、アメリカ合衆国は、恐らく何もできない・・・。

 

関連して北朝鮮のミサイル実験が集中してきた事実とロシアの侵攻作戦の関係だが、プーチン政権はプライドの面から北朝鮮などの3等国家に援護射撃など要請しない。

勝手にロシアを助けてやったと思いたい北朝鮮独裁者の幼児性が感じられる。

 

アメリカのバイデン大統領はどうも老人特融の情操感覚の肥大化(暴走)傾向、総合認識能力、或いは広義では「統合失調症」と言っても良いか、自身が発言する言葉が時系列的にどう言う影響を与えるか、展開を予測できないのではないか・・・。

つまりは近い間に健康的不安が現実化する恐れが在るように思われる。

 

このロシアのウクライナ侵攻の結果がどうあれ、次に恐れられるのは中国の台湾侵攻になるが、その対策は後日記事にできればと思う。

 

元々市民制度と言う権力の分散、所謂多人数の合議制では対処が遅くなる事から、古代ローマで求められた「独裁官」の制度、やがてその権力の大きさから、どうしても長期化し「独裁者」を生む温床となった。

 

この独裁者の暴力に対し、元々物事が中々決まらずに「独裁官」制度を作った「多数合議制」が対決する形となった2022年のロシアに拠るウクライナ侵攻、何とも複雑な思いがする。

 

最後に、世界に自国の国際決済クレジット会社を持つ国はアメリカと日本、中国で有り、JCBは日本の会社だが、アメリカのVISAカード、アメリカンエキスプレスは早々にロシアでの決済を不可にしたが、中国はこれを行わず、JCBは対応が遅れていたと言われている。

 

ロシアではJCBカードが爆発的に市場を拡大させていたとも囁かれているが、こうした件に付いてJCBは何も発表していない。

世界各国に勇ましく協調すると言いながら、その後ろで隙間を付いて敵国市場での占有率を拡大させる在り様は、或る意味日本らしいとも言えるが、有事の際は見逃されても秩序が復活した時、こうした行為は深く信義を損ね、、報いを受けるだろう。