2022/04/03 11:19


昨年来、公私共々大変繁忙な状態に在りまして、皆様方にはご迷惑をおかけしております。

 

謹んでお詫び申し上げます。

 

現在の所輪島市内、及び極めて古典的な技法に拠る輪島塗下地の受注がひっ迫しておりまして、BASE様ショップをご覧頂いております方々への新作漆器製作が極めて大きく遅れています。

 

輪島塗下地はとても地味で、綺麗でも格好良くもない仕事ですが、私が弟子入りした時の親方が当時、すでに80歳に近い年齢だった事もあり、私はこの技術の明治、大正、昭和初期の仕事を継承した、恐らく最後の継承者だろうと思います。

 

現在活躍中の50代、60代の職人さんの親方の親方と同期の技術者末席となります。

既に失われた技術や、ちょっとした工夫も多く、例えば漆を塗る時、エアコンを使っていれば、それで少しだけ強度が落ちるなどと言う話をしても、誰も理解できない時代になっています。

 

ただ、こうした小さな事が積み重なって、言葉には出ない、感覚でしか分からない部分での仕事の差異が現れてくるものなのかも知れません。

 

私は求道者ではなく唯の職人ですので、人が求めてくれるなら、それを喜んでやらせて頂き生活ができれば、これ以上求めるものはないと考えています。

 

それゆえ、輪島塗下地の仕事を優先させて頂き、少しずつ作っていたBASE様掲載の漆器を作る時間がなく、その上にこの季節ともなりますと、田植えなどの仕事の依頼も出てきて、完全に手が塞がってしまいました。

 

しかし、漆器職人兼業農家としては、自分がやりたい事、作りたい物より、まずは人が求めるものを有り難くやらせて頂くのが正しい在り様ではないかと思います。

 

まことに勝手な話ですが、受注頂いた仕事をまず形にして、それからBASE様掲載の品の製作をさせて頂きたく、もう暫く新作漆器の掲載を延長させて頂ければと思います。

 

大変恐縮ですが、6月前半から少しずつ新作漆器を掲載する予定ですので、皆様方には何卒ご了承を賜りたく、お願い申し上げる次第です。

 

過去に他ブログで掲載した記事の再掲載しかできませんが、皆様方に措かれましてはお体に気を付けて、益々のご活躍がございますよう、心から希望致しております。

 

どうぞよろしくお願い申し上げます。


夏未夕漆綾  浅 田  正