2022/04/06 18:27

経済には平面的広がり、時間的な広がり、それに高さと言う広がりが有り、こうした事を取り囲んで通貨と言うそれぞれの胴元がいて、株式と言う賭博が繰り広げられている。

経済、商いの本質は詐欺であり無限連鎖講でしかないが、この詐欺や無限連鎖講が消費者の任意で動いている状態を商業活動、商業活動全体と、それに資金を供与している、いわゆる賭博に参加している者を含めた状態を「経済」と言う。

経済の平面的広がりとは、もし人間一人に一個必ず必要な物が有ったとして、それが買われていく様子を示すもので、これが経済の基本になるが、需要と供給が均衡しているか、若しくは均衡に近い状態も指していて、過度な情報によって本来その需要が持っている速度を超過していない、純粋速度需要で有る場合、全ての人間の需要が満たされれば、その需要物を生産販売している組織や個人は必要が無くなる。

ところが純粋速度需要には時間経過が伴う事、どんな企業や個人も、現在自身が作っている製品がどこまで売れるかは予測でしかない状態で物を生産、販売して行く事から、或いは現状が継続して行く事を想定して生産販売をする事から、ここには仮想や暫定の広がりの概念が存在し、この状態は隠れた無限連鎖性を持っている。

また利益は「自身の価値」と言う事になり、ここに適切な基準は存在していない事から、利益の正体は「取れるだけ」と側面を持っているが、この事は「貰えるだけ」と言う消極性と同義でも有り、生産された物の適正価格は実は存在しておらず、それに対する利益は「環境」や「状況」と言う事になる。

従ってここにはその物に対して幾らまでなら許容して買うか、またどれだけの対価が欲しいかと言う接点が出てくるのであり、予め基準や絶対的等価価値が存在していない事は、相互に包括している理論上存在する価値では無い部分、いわゆる詐欺性利益分を許容し合うことで成立し、仮にどちらかがこの事を認めない状態で対価供与を行なってしまった状態が「詐欺」なのである。

そして経済の時間的な広がりとは「未来の消費」であり、ここで空間的な広がりでも出てきた純粋速度需要の考え方が出てくるが、例えばエコカー補助金などは、早く対象車を買わないと、補助金総額が終了してしまう為、本当は今必要では無い人、もう少し先に買おうと思っていた人まで、今の段階で車を買わせてしまう。

しかしこの事の現実は、もし補助金が無かった場合、今の段階での販売台数は確実に減少する、言い換えれば需要が長く保たれるが、今、車を買わずもう少し先に車を買おうと思っている人、つまりは未来の需要を現在の段階で食いつぶしてしまうことで有り、ここで純粋速度需要に相当するのが補助金の無い状態と言う事になり、補助金が有る場合の需要は加速度需要である。

この事の効果は大変厳しい現実的側面を持っている。
未来の利益を現在の段階で得ているのだから、当然その未来の売上は減少し、需要の終了点は純粋速度需要より遥かに早い段階で訪れる事になる。

補助金の効果以上に需要がなくなってしまうのであり、これから先日本の自動車メーカーは確実に国内販売の大幅下落に苦しむはずである。

また時間の広がりは「契約」と同義性が有る。
100万円の資金を借りたとして、その返済に1年の猶予が有れば、その資金で種を買って農産物を生産し、500万円の利益を出すことも、100万の資金を年20%の資金運用に回す事も可能になる。

これが「時間を利益」とする考え方の基本だが、実はこれも自動車のエコカー補助金と同じで「未来を現在で消費」しているのである。

18世紀ヨーロッパの「自由」の概念が「未来を消費していない状態」に有った事は、極めて含蓄の有る事実と言うべきだろう。

自動車などの消費財はそれを売る側が補助金などによって、買う側もローンなどによって共に未来を現在で消費しているだけなのであり、このことがもたらす結果は消費による社会経済の活性化だが、未来の時間を消費する事が頻繁になってくると、社会経済の活性化速度も早くやってきて、いずれはそれが現在を追い越し、未来にまで食い込んでしまう、マイナス経済社会になっていくのである。

更に最後になったが経済の「高さ」に付いて、これは簡単に言えば少し前に流行った「付加価値」などと言う考え方、或いは階層市場原理と言う考え方だが、チョコレートを買った人はケーキも買わないかな・・・と言う考え方である。

経済の「高さ的広がり」とはサービスの向上などによるクオリティの面、それと商品市場に複合性をもたせる事を意味していて、商品そのものを深く掘り下げる「ブランド性販売」と企業の副業事業の拡大、或いは大型店の躍進などがこれに相当するが、この事は消費に資産運用の側面を持たせたり、消費にかかる時間的ロスを軽減させる、または企業が持っているノウハウをそれまでとは違った商品開発に活かせるメリットを持つ。

しかしこうした経済の「高さ的広がり」は、基本的には飽和供給であり、本来積極性消費では無い物を消費させようと言う観点から言えば、劣化市場競合、つまりデフレーション・スパイラルである。

少ない消費を求めて商品がさまよう事を考えるなら、本当に必要な措置は「生産調整」と「需要商品の開発」で有り、市場開拓と言う更なる商品の投入は全く逆効果にしかならない。

今まで経済は空間的拡大、時間的拡大、立体的拡大と言った具合に、市場を中心に考えられた来たが、これからの経済は「縮小」で利益を出す方向で調整が必要になる。
リサイクル、メンテナンス、開発の時期を迎えているのであり、膨らんだサービス業などの高次産業経済から、食料生産などの低次産業経済への循環点に有るのかも知れない。

経済は基本的には仮想部分によって拡大しているが、その決済は「現物」であり、今世界経済はその現物決済に株式取引と言う二重の「契約」を組んでいるが、この破綻は間近である。

日本経済は2013年1月にはこれまで経験したことのない危機的な局面を迎えるだろう。

[本文は2012年8月29日、Yahooブログに掲載した記事を再掲載しています]