2022/05/06 19:25

そして夢の世界では現実との反転性が有る事から、自分が持っているものは相手に望むものであり、相手が持っているものは相手が自分に望んでいるだろうと言う期待感を示す場合が多く、例えば女性器の象徴である扇子などは、それを自分が持っている夢は近い内に異性と出会いたいと思っている事になり、向うに女性がいて扇子を持っている場合は、女性にモテたいと言う願望の現われと言うことになる。

同じように女性が山の夢を見る場合、山に登っている夢はダイレクトに「男が欲しい」であり、山を見ている夢は男性にモテたいと言う願望の現われと解釈され、こうした自然の景色を夢見る事は一般的に清浄なイメージを持つかも知れないが、湖の夢などが既に性的欲求の現れである事を考えるなら、こうした綺麗な自然景色の夢は最も自分が抑圧しているか、それを自己封鎖しているものを現していて、この点では汚物が知性を象徴している事と相対する関係と言える。

また景色と言う点では視覚情報は現実と夢を共有している部分が多く、従って夢で現れる景色が現実にも存在し、しかも自分が一度もそこを訪れたことが無い場合、これは視覚情報と夢の曖昧さから発生する既視感覚であり、夢と現実で見た、例えばテレビの映像からでも脳内合成が起こり、そこで始めて見るのに懐かしい景色と言うものが現れやすくなり、これは人の場合も有り得る。

即ち人間は3つの点が有ればそれを顔と認識する事から、普段多くの人と接する人は人の顔をパターン分類して記憶するようになり、人の顔の細部を記憶しない現象が起こってくる。
このことからやがてこうした状態が長く続くと初対面の人でもどこかで会った記憶を感じるようになり、夢で細部が更にディテールを失った記憶と重なって行く事から、最後は全ての人が何かしら懐かしく、親近感を憶えるようになって行く。

そして一番浅い眠り、「金縛り」とも呼ぶが、この状態は目が覚める寸前の状態であり、現実と夢が混同している状態と言える。
それゆえ自分の部屋にいながらそこに有り得ない者も存在できるのであり、これは記憶と夢が同時に現れてくるからである。

尚且つ、冒頭でも述べたように眠りは基本的には「危険な状態」である事から、この状態の中で起きている寸前の状態は常に「恐怖」しかないのであり、ここでは記憶の自分と夢の中に有る自分が2人出てくる事になる。

だから金縛りの最終段階が「幽体離脱」なのであり、この状態は霊魂でも何でも無い。
自分がどの位置にいるかが2人の自分によって混同され、自分が現実に有る位置を誤認識するからである。

自分の口元から数センチ離れた、自分の頬の辺りからもう一つ呼吸音が聞こえるなどの現象は、まさにこうした原理が生じせしめるものであり、寝ている自分を天井近くまで浮き上がった自分が見ているなどの現象も、どちらかと言えばこうしたことが原因になっている可能性が高い。

更にこうした幽体離脱と絡んで、起きている時に自分が自分を見てしまうドッペルゲンガー現象も、これが自分一人しか見る事が出来無い場合、恐らく自己の位置を誤認識する脳の作用によって、自分を現実の位置とは違った場で確認している可能性が高いが、ドッペルゲンガー現象の場合、第三者も2人の同一人物を確認する事があり、この場合の原因解明は今のところ為されていない。

また夢で見た事が数時間後、数日後には現実になってしまう「正夢」に付いて、この夢は一般的には朝方、もう起きる直前に見る事が多く、関東大震災でも実に多くの人が地震が起こる前に地震の夢を見て、それで難を逃れた事が知られているが、阪神淡路大震災でも数多くの「正夢」による地震予知記録が残されている。

ただ、正夢に限らず夢を正確に覚えているパターンは実は大変少ない。
よって正夢や何某かの象徴的な夢と言うものは眠りから醒めて以降、現実の中でも創られたり付け加えられたりしているものであり、この点では自分が思っている夢の記憶は曖昧な部分が装飾されている事が多くなる。
即ち正夢は起きているとき、現実の中で創られる事も多いと言うことである。

では最後にどんな寝方をすればどんな夢を見るかの統計的確率の高い事例と、悪夢を葬る古来の儀式を紹介して終わりとしよう。
本来こうした話題は本が数冊書けるほど膨大な広がりを持っているのだが、それはまた機会を見て少しずつお話できればと思う。

心臓の有る左胸に手を当てて眠ると恐い夢を見るが、これは体の左側を下にして眠っても同じことが起こり、気管や呼吸に障害の有る場合、例えば無呼吸症候群などは確実に恐い夢にうなされている事になる。

また寝ている間に夢でセミの鳴く声が聞こえたりする場合、夢では大きな音が出てくる事が少なく、大きな音が出る場合は直後に目が醒める事になるが、これで目が醒めない時は脳の血管障害が発生する可能性がある。

布団から片足を出して眠っている場合、高いところから落ちる夢を見る可能性が高く、これに性的欲求が加わっていると、崖から落ちて地面すれすれで空を飛んでしまう夢になるが、この夢のパターンで最後は何か黒いものに追いかけられる場合、片方出した足を寝ながら布団に入れようとして、中々入らない状態になっている可能性が高い。

更に膝を立てて眠っている時、どうしても早く歩けない夢や、走ろうとしていながら何かに引き戻される夢を見ることが多い。

早く逃げなければと思いながら、脇で猫が鳴きそうになってその口を一生懸命塞いでいるなどの夢は、こうした状態で寝ている時に見易く、恋人や友人に刃物で刺される夢はどこかでその相手や関係者との関係の好転を暗示していて、これはその代償に自分が刺される夢を見ていると考えられる。

手を片方出して眠るとテニスか釣りなどをしている夢を見る場合が多く、これに付随して、例えば夢で卓球などの試合を見ている時は、目を閉じながらその中では眼球が動いていて、動物などの場合は寝ながら走っている夢を見ている時は、現実でも一生懸命足を動かしている場合があり、極端な暴飲暴食は悪夢や、上司に怒られている夢をなどを見やすくなる。

                                                        「夢占い・4」に続く


[本文は2012年10月27日、Yahooブログに掲載した記事を再掲載しています]