2022/05/06 19:26

うつむせで眠る場合、これは眠りがどうしても浅くなる事から、悪夢を見る確率が高く、現実の物音に反応しやすくなり、非常にびっくりした夢を見ながら目を醒ますことが多くなる。
夢は現実の反転性である事から、現実では余り良くない事を夢で見る場合は、現実が好転し、夢で良い夢や綺麗な夢を見るときは現実面では厳しい局面が訪れる暗示が有る。

ちなみに夢の中で最悪の暗示を持っているのが「歯が抜ける夢」であり、歯槽膿漏で歯を失う場合、夢で歯が抜けて現実にも歯が抜けていると言うような恐ろしいケースも有るが、悪夢や悪い夢の御祓いの仕方は次のようになっている。

古来より「吉内悪外」と言って、悪い夢は人に話してしまう事で悪を分散し、良い夢は内緒にしてこれが分散する事を防ぐようにすると良いとされていて、従って悪い夢は出来るだけ多くの人に話し、良い夢は盗まれないように、人には喋らないことが肝要であると言われている。

「宇治拾遺物語」には吉備真備(きびのまきび)が大臣にまで出世したその裏話が出てくるが、この中で吉備真備は夢解き女のところへ夢占いをして貰いにやってきていた守護若君の夢を盗み聞きし、夢解き女と交渉してその夢を自分のものにしてから出世していく話が出て来て、吉備真備は大臣に出世するまでその夢の事を誰にも話さなかったと記されている。

また中国の古い文献でも同じような事が出てきていて、そこには悪い夢を紙に書いて壁に張り出す悪夢退散法のことが書かれているが、これが日本に入って来ると吉備真備の逸話になったり、或いは悪い夢を紙をに書いて燃やす、川に流すなどの悪夢退散法になって行ったものと考えられる。

「ながきよのとおのねふりのみなめさめなみのりふねのおとのよきかな」

(長き夜の遠の眠りのみな目覚め波乗り舟の音の善きかな)

これが悪夢を祓う言葉だが、回文(かいぶん)と言って、つまりは逆から読んでも同じ文になる言葉だ。
秦河勝(はたのかわかつ)が悪夢を見たとき、悪夢祓いの言葉として聖徳太子が伝授したものとされているが、さて今夜も恐い夢を見そうな誰か、そうあなたの事だ。

たまには怪しげなまじない言葉に頼って見るのも良いやも知れない・・・。


[本文は2012年10月27日、Yahooブログに掲載した記事を再掲載しています]