2022/05/14 21:11

「ロナルド・レーガン」合衆国大統領の下で第15代国防長官を務めた「Caspar Willard  Weinbeger(キャスパー・ウイラード、ワインヴァーガー)、通称「cap」はこう言った。

「もしこの世界に神がいるとしたら、それは我々の事だ・・・」

傲慢である。
神を信じていないからこその言葉だが、彼以降の国防長官、国務長官は皆この言葉を愛した。

人は神として生まれてくるのでは無い、神として生きるのでもない。
人として生まれ、人として生きるのだ。
だからどんな時でも人の持つ愚かさ、浅ましさの中に有って、その修羅の道の彼方に人としての究極が有る。
それゆえ傲慢さを極めるもまた神の道であり、この覚悟が有るなら、その事の恐ろしさを知るなら「私は神である」と言う者は最も謙虚な者となる。

政治家に必要なものは「人間性」や「正義」では無い、「覚悟」だ。
眼前に屍の山を築こうが、弱い者を見殺しにしようが、自身が信じる道を、いつかそれが幻想で有ろうとも、幸福な社会を実現する為で有れば、最も愚かな者に成らなければならない、その覚悟こそが政治家の資質と言うものだ。

中国の指導者が「胡錦涛体制」から「習近平体制」に変わった。
世界中が注目する中華人民共和国最高指導部だが、この新体制は5年以内に大きな危機を迎え、その時に対処するだけの能力を持っていない。
簡単に言えば中国新体制はそのスタート時から国家統治能力が不安定な状態に有る。

ヨーロッパの経済危機、EUの通貨はこの2年以内に事実上の効力変換、つまりはそれまで有ったそれぞれの国家通貨に戻されるか、それで無ければユーロが紙屑になる可能性が高い。

こうした中で現EU体制を維持しようとすれば5年以内に経済は崩壊し、その復帰には10年の歳月を要し、耐えている5年間が最も深い絶望期になる。

それゆえEU経済の一番早い復興プランは、今の間に破綻する事であり、こうしてEUが解体する場合は2年間地獄を見ても、復興に要する期間は5年ないしは6年と言う事になるが、いずれにせよヨーロッパ輸出偏重だった中国経済は早くても5年、遅ければ今後10年、大きな成長を望めず、片方で同じように輸出収益国家であるアメリカ合衆国の景気はある種ヨーロッパ連動となる事から、こちらも発展は望めない。

習近平新体制は、まず自国経済界から要望が高くなるであろう経済発展政策プランを持っていない事から、一番最初に経済界の中で特定の企業や地域の選別優遇政治になっていく可能性が有り、この事は現中国で最も国家運営支障の原因となっている共産党幹部の汚職を深化させ、国内では貧富の差が増大し、景気が悪くなるに従って貧しい層が拡大、中国共産党に対する不満は限界にまで達する事になる。

そしてこうした状況で特にプランのない習近平新体制は、国内の不満分子を取り締り、軍部制圧によって統治しようとするだろうが、この時期になると豊かな者が少なく、圧倒的な数の貧困層を抑える事は容易ではなくなる。

例えば一つの自治区全員を皆殺しにでもしなければ国家統治が難しくなるが、習近平はおろか、現中国にその度胸の有る者は存在していない。

この事から中国政府はこうした国民の不満を特定の国家に向けさせなければ体制が維持できなくなる事態を迎え、これは昭和時代初期の日本の状況と同じであり、国内の不満をアメリカに向けさせることで、軍部や政治体制が維持された結果、太平洋戦争に突入した状態と近く、今般中国が最もターゲットとして考えるところは「日本」である。

ゆえ、日本はこのままの政策だと5年、10年以内に中国と局地戦状態になる可能性が出てくるが、これはもろ刃の剣である。
すなわち中国指導部が国民の不満を日本に向けさせる事が出来無ければ、中国が国家分裂の危機にさらされるのである。

従ってここ数年の間に、日本は太平洋戦争開戦前のアメリカと日本の立場の逆の立場が出てくるので有り、相違点は局地戦や紛争が起きなければ相手国、つまり中国が分裂崩壊の危機にあると言う状況で、この点で日本は「何もしなければ勝てる」状態に有り、これは比較的有利な状態と言える。

韓国と竹島を巡り関係が悪化した今日、北朝鮮と食料、燃料援助を条件に日朝友好条約を結び、韓国と中国にプレッシャーを与え、どこかでそれとなく中国民族運動関係者に資金供与を行い、これが少しだけ中国政府バレる状態が最高だが、こうしてプレッシャーを与えながらのらりくらりと黙っていれば、その内耐え切れなくなった習近平体制は、或いは尖閣諸島の攻撃に踏み切るかも知れず、これをして日本は国際社会に被害者として提訴し、国際社会世論を使っても中国の民主化運動を煽ることができる。

だが、ヨーロッパ経済崩壊、それに連動したアメリカ経済の低迷、中国市場の日本企業の活動の困難さは、当然日本にも大きな影響を与えるが、一般的に貧しくなると小さな体裁やプライドが気になりだすものである。

貧しさの裏返しで増長された屈辱に耐え切れず、国民が妙なナショナリズムにうつつを抜かし、衆愚化した政治が日本国民のご機嫌取りに走った時は、中国の政策が功を奏する事になる。
つまり、今後の世界経済、政治情勢は全ての国家がチャンスと危機が表裏一体になっていると言う事だ。

そして日本の今の政治状況、国民の有り様を鑑みるなら、この段階でも少しは諸外国より有利な状態にある日本は、その国民の愚かさと「自公+第三極連合政権」の政策の失敗によって、大きな危機に陥る可能性が高い。

日本は本当は大きなチャンスの中に有る。
しかし目の前だけを見ているとそれが絶望に見える。
おそらく今後の政局は日本のチャンスを絶望にしてしまうだろう。

歴史の転換となる歯車は既に回り始めたかも知れない・・・。

[本文は2012年11月16日、Yahooブログに掲載した記事を再掲載しています]