2022/06/22 20:34

物質の運動は波の周期を持ち、振動と同じである。

この事からあらゆる物質には周期が存在するが、その周期は物質が持つ歳差、或いは微小な誤差や「ゆらぎ」と言っても良いか、そうしたものによって混沌と秩序を繰り返し、この混沌と秩序を持ったあらゆる物質や集合体が相互に影響し合い、更に大きな秩序と混沌を形成している、若しくは消滅と混沌の組み合わせになっている可能性が高い。

こうした宇宙原理から地球もまた免れることはできず、公転軌道は必ずしも安定したものでは無く、自転に措ける地軸傾斜も実際には22・1度から24・5度の間を彷徨っているのであり、地球の秩序は一定の定数を示しながら混沌へ向かい、それがまた秩序に向かう事を繰り返していて、太陽もまた銀河の回転の中にある事から、更なる混沌と秩序の中にあり、結果として地球は限りない混沌へと向かっている事になる。

そしてこのような地球や太陽の運動の秩序と非秩序循環が及ぼす気象変化として「氷河期」と言う地球寒冷化現象の解明が試みられていて、これを「Milankovitch/cycle」(ミランコヴィッチ・サイクル)予想と言う。

一般に小さな秩序と混沌の循環サイクルは大きな循環よりも時間経過が早く、大きな循環サイクルは時間経過が瞬間にして尚、遅い。(瞬間にして遅いと言う表現は矛盾だが、説明すると長くなるので省略する)

それゆえ本来究極的には周期は存在し得ないが、例えば10億年くらいの中だとそこに周期を見ることは可能になり、ミランコヴィッチ・サイクルでは10万年、4万年、2万年サイクルの組み合わせで、地球は寒冷化と温暖化を繰り返していると予想された。

今からほぼ21億年前、地球は大きな寒冷化現象を引き起こし、その後7億5000万年前と6億4000万年前には、数千年に及んで地球が全凍結する寒冷化現象を引起こしたものと考えられ、4億6000万年前から4億3000万年、3億6000万年から2億6000万年にも生物種が絶滅するほどの寒冷化現象に見舞われている。

基本的に地球は殆どの年代を通じて「氷河期」なのであり、その程度の大きい時を「氷河期」と呼び、その程度の軽い時期を「間氷期」と呼んでいるに過ぎないが、現在もっとも近いところの氷河期は今から4000万年前から始まり、300万年前にピークを迎え、4万年、2万年の周期で地球の氷結部分は増減を繰り返し、今から1万年前には氷結部分総合量の減少傾向に入った。

この意味ではミランコヴィッチ・サイクルは確かに成立している。
しかし細かいところで見ていくなら、例えば6000年前のエジプトは緑の大地で有り、日本も4500年前には福岡県近郊の降雪はなかったものと考えられるが、これが弥生時代中期・後期になると服飾から福岡県での降雪が想像される事になり、江戸時代後期の気温は1970年の日本の気候より、平均で2度前後低かった事が推定される。

つまり現在環境問題として騒がれている地球の平均気温の増減は、人類が出している排出ガス、CO2量の増減が無くても自然発生しているのであり、地球温暖化が騒がれる影で実際は若干寒冷化している地域の増加を鑑みるなら、この先地球は寒冷化傾向に有るとしなければならないかも知れない。

地球は本質的に氷河の星である事から、その氷結部分の増減で氷河期を判断せねばならず、また時間的な氷結期間の総合でこれを考える必要が有るだろう。

つまり涼しい夏が増え、冬の気温が例年より低く、そして冬の期間が長くなる地域が増える場合、それは明確に地球の寒冷化と言えるが、では一体それがいつまで続くのか、どのくらいの周期が今やってきているのかは人類には予想ができない、終わって見なければ分からないのである。

またCO2排出による地球温暖化現象と地球の寒冷化現象では、どちらが気象的影響に大きく作用するのか、或いは相殺されて何かが緩和されるのか、それとも相乗作用で気象激化を招くのか、これも予想がつかないが、私見を言うなら一番最後のケースで有る「気象激化現象」の可能性が高いように考える。

そしてもし地球が寒冷化に向かっているなら、これは短くても100年くらいの期間が有り、更に長ければ数万年、場合によっては数千万年の期間が顔をもたげてくる事になる。

CO2削減など簡単な事だ。
これから先ヨーロッパが通貨危機を迎え、アメリカや中国のアジア経済政策が失敗に終り、尚且つ消費国家の先進国が軒並み少子高齢化社会を迎え、消費の少ない経済的困窮国で人口が増える傾向が続けば、経済は急激な下落を迎え、即ち経済が落ち込めば京都議定書が無くてもあっさり削減目標以上に各国のCO2は抑制されるだろう。

だが一方寒冷化はその期間は短くても100年、長ければ数千万年単位で有る事から、基本的に寒冷化がもし人為的温室効果ガスで気温的均衡を保ったとしても、それは僅かな期間にしか過ぎず、人類の営みなどに全く影響されずに混沌、つまり寒冷化に向かうだろう。

最後に、気象変化がもたらす最も大きな生物学的影響は滅亡と進化で有り、過去にも氷河期の初めに生物の絶滅が有り、終わると同時に生物はあらゆる多様性を発揮し、繁栄する方向を目指した。
気象現象はこの30年間にも大きく変化した。
即ち現状を鑑みるなら温暖化と寒冷化が同時に進んでいるのであり、この中で我々人間のような大容量の生物の変化は少なかったかも知れない。

しかし例えば微生物やウィルスなどは、もしかしたら激変しているかも知れない。
「H5N1」、「鳥インフルエンザ」は当初、鳥から人間に感染する能力を獲得するには相当な時間がかかると見られていたが、その実鳥感染と人間への感染時間の誤差は1週間もなかった。

ベツレヘムの星のように、キリストの誕生を知り賢者が集まるのとは反対に、今度は何か悪いものが刻一刻と集まってきている気がするのは私だけだろうか・・・・。


[本文は2013年2月3日、Yahooブログに掲載した記事を再掲載しています]