2023/04/15 16:58


イソフラボンという構造体は大豆などに多く含まれているが、この化学構造は人の女性ホルモンに似ている事から、摂取すると人体内で女性ホルモンと同じような働きをする。

そのため閉経後の女性がエストロゲン不足によって起こすとされている、骨粗しょう症の予防には効果があるが、一方で外部から不自然にホルモンと似た成分を摂取することは、本来人が持つホルモンのバランスを崩す恐れがある。

近年、このイソフラボンを用いた栄養補助食品は数多く販売されているが、食品安全委員会はその摂取量に一定の目安を設定し、大豆の1日の摂取量の上限は、イソフラボンのアグリコンとして70mg~75mg、またその成分が人によって試験され、効果があることが明確になっている特定保健用食品からの摂取量は、1日当たり30mgとしている。

その上で妊娠中の女性や小児、乳幼児は日常の食事以外に、大豆イソフラボンの摂取は控えるようにとしている。

またダイエットのサプリメントとして近年台頭しているコエンザイムQ10、これは体の中でどう言った化学反応を起こしているかと言うと、人体では酵素が触媒として働いているが、酵素単独では反応が進行しない場合があり、このとき必要なのが補酵素と呼ばれる存在であり、コエンザイムQ10もこうした補酵素の一種である。

人細胞内のミトコンドリアに存在する代謝系に、エネルギー発生系があるのだが、食事から摂取された栄養成分は最終的にこの代謝系でATP(アデノシン三リン酸)と言う高エネルギー物質に変換され、体内随所のエネルギー源となるが、コエンザイムQ10はこのATPの生産に関与する酵素の補酵素としての働きを持つことから、これが不足すると細胞内のエネルギー生産率は悪くなる。

従ってコエンザイムQ10はもともと、多大なエネルギーを必要とする心筋、つまり心臓病の症状を改善する薬として使われていたものなのだが、その効果が医学的に実証できなくなったため、医薬品としての規制を解かれた結果、市場を求めてダイエット業界へ移って来たと言う経緯を持っている。

コエンザイムQ10が不足すると、人体内でエネルギー生産が順調に行われず、基礎代謝が低下していく。
基礎代謝が低下すると言うことは、消費エネルギーが減少することであり、つまり栄養分がエネルギーに変換されず、体内に蓄積されるために体重の増加が発生してくると言う原理である。

それ故、コエンザイムQ10の摂取はダイエットに効果があるとされる。

だがそもそも通常の生活を送っていれば、そこまで派手に人間の代謝機能が衰えることは無いのであり、コエンザイムQ10を摂取したからと言って、その摂取分に比例して効果が現れると思ったら大きな間違いである。

ダイエットサプリメントとして名高いコエンザイムQ10だが、実は高額な費用を出してサプリメントを買わなくても、一般の食品の中に広く含有されているものであり、サプリメントとして摂取してダイエット効果があるかどうかは甚だ疑問であるばかりではなく、毒性こそ無いものの、食事以外からその成分だけを大量摂取して、安全性が保たれるものか、その懸念の方が大きいものなのだ。

さて、今夜は食品の話をしたついでにもう一つ、日本人の口をまかなうためには、現在どれくらいの農地が必要になっていると思うだろうか。
日本は海外から膨大な量の食糧を輸入していて、2005年の食料自給率は熱量換算で40%、現在ではこの比率を下回っている。

従ってこうしたことから日本人に海外から供給される食料は、その全熱量の60%にも及び、日本が輸入農産物の生産に要している海外の農地面積は、1500万ヘクタールにも及んでいる。

簡単に言えば、日本はこれだけの農地を海外のあちこちで借りていると言うことであり、この面積を国内の農地と比較すると、日本に存在する食料生産農地は凡そ510万ヘクタール、つまり日本は実に国内全農地の3倍、日本国の国土面積の38%の土地を海外で使わせて頂いて、生活している訳だ。

その上、日本の農地は年々減少し続けており、現在輸入している農産物の量を考えても、これを自給することはまず不可能と言ってもいいだろう。

また問題は食料自給率の低さだけでは済まず、根本的には日本の農業者人口の減少であり、その高齢化である。

基本的に日本の農業者人口動態は、60歳以上若しくは高齢者がその全農地の70%近くを生産しているのであり、その生産性は極めて低く、また若手の育成などは補助金暮らしを渡り歩く若者と、そうした人材しかいない中で、自給率をペーパー上で高めようと考える行政などによって、虚構となっている。

そしてこれは集落営農の実績だが、例えば法人化して大規模会社組織農業にした、地域農業の先駆者と言われる農業法人、この殆ど全てが地域の顔と称され、国から表彰を受けながらも、その実情は膨大な借金を抱えながら、補助金で何とか繋いでいるのが実情なのである。

最後に、こうして自給率は低く、農地は減少し高齢化が進む日本の食糧事情だが、質、量ともに常に飽和状態にあることもまた、我々は忘れてはならないことのように思う・・・・。